前々回の「コード決済アプリ利用率が過去最高の66%」、そして前回の「コード決済アプリはすべての業種で利用が拡大」では、「クレジットカード」や「コード決済アプリ」といった大きなカテゴリーの観点から日本のキャッシュレス決済市場を俯瞰してきました。
今回はもっと細かく、個別サービス別の利用率をみていきます。
図に示したのは、2万人における個別サービスの利用率です。2021年から2023年の3回分の調査データを示しています。
利用率トップはPayPay(49%)、2位は楽天カード(46%)、3位は交通ICカード(37%)。
初回調査から常にトップであった楽天カードが、今回初めて2位となりました。
PayPayは2018年の登場からの短期間で爆発的な成長を遂げ、国内首位の地位を奪い取りました。
図では、2021年と2022年の利用率をグレーの縦棒で示しています。前回調査からの1年間でPayPay利用率が大きく向上していることがわかります。
全体的な傾向としては、赤棒で示しているコード決済アプリ勢に勢いがあります。例外はLINE Pay(7%)で、こちらは数年前から利用率は減少傾向です。
緑の縦棒は国際ブランドカード勢。盟主・楽天カードは利用率を順調に伸ばしているにもかかわらず、PayPayが爆発力で圧倒しました。
PayPayにチャージ可能な唯一のカードであったPayPayカード(16%)も数年かけて利用率が伸びてきています。PayPayカードは今後、PayPayに登録可能な唯一のカードになります。
ブランドデビット(国際ブランドデビットカード)のトップは楽天銀行でした。
ブランドプリペイド首位のau Pay プリペイドカードは利用率が5%に届かなかったため図には登場しなくなっています。
紫棒で示しているBNPLにも大きな動きがありました。昨年トップだったNP後払い(5%)の利用率が微減するなか、PayPayあと払い(6%)(現:PayPayクレジット)が大きく伸びてBNPL首位となりました。
BNPLについては別記事で詳しく述べますが、女性ユーザーの支持を集めているNP後払いに対し、PayPayあと払いは男性ユーザーを獲得することで一気に勢力を伸ばしています。BNPL市場も成長しながらその構造を変化させていっています。