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若年層に広がるブランドデビットとBNPL、現金利用は減少 ~決済動向調査2022~

前回記事「QRコード決済の利用率が電子マネーを初めて上回る」では、当社オリジナルの「決済動向2022年4月調査」からキャッシュレス決済の主要5カテゴリーの利用率を紹介しました。第2回となる今回は、主要5カテゴリーの利用者像について考察します。

この記事は『CardWave』341号(2022年5・6月号)に掲載された「QRコード決済が電子マネーを超えた日 消費者調査に見る決済市場の構造変化」を抜粋し一部の見出しや改行を改変したものです。

「決済動向2022年4月調査」の主要な結果は当社プレスリリースでも紹介しています:

QRコード決済の利用率が57%となり、FeliCa型電子マネーを初めて上回る結果に BNPLは、若い女性を中心に躍進し、11%の利用率でブランドプリペイドを凌ぐ勢い」、株式会社インフキュリオン プレスリリース、2022年5月25日

BNPL利用者は女性が多い

図2 キャッシュレス決済の主要5カテゴリーの利用者の男女構成

図2に、各カテゴリーの利用者の男女構成を示す。母集団は男女の比率は50:50であるので、男女まんべんなく獲得しているサービスも50:50となるはずである。

図2を見ると、利用率のもっとも高い3カテゴリーであるクレジットカード、QRコード決済アプリ、そしてFeliCa型電子マネーは男女まんべんなくユーザーとして獲得できている

ブランドデビット、ブランドプリペイドの利用者では男女比は2:1となっており、男性偏重となっている。ブランドデビット利用者には、インターネット専業銀行のデビットユーザーが多く含まれるが、インターネット専業銀行はもともと男性ユーザーが多いと言われている。ブランドデビット利用者の母集団である口座保有者からして男性偏重である可能性がある。

面白いのはBNPLで、こちらは利用者の男女比が1:2と女性偏重となっている。衣料品や化粧品の購入で利用されることが多く、加盟獲得時点から女性をターゲットとしているとも考えられる。

若年層で広がるブランドデビットとBNPL

図3 キャッシュレス決済の主要5カテゴリーの利用率 年齢階層別

図3に示しているのは、10代から60代までの六つの年齢階層における各カテゴリーの利用率である。日本に限らず多くの国では、一般にキャッシュレス決済利用率は年齢とともに向上する。世間のイメージと逆で、普通は若い人ほど現金派なのである。図3では、クレジットカードとFeliCa型電子マネーという2大主流サービスにおいて「年齢とともに向上する利用率」という構造が表れている。

ブランドデビット、ブランドプリペイド、そしてBNPLという比較的新しい三つのサービスは、クレジットカードやFeliCa型電子マネーとは逆に、利用率は若年層において高く、年齢が上がるとともに減少していく。こちらは新興サービスの一般的イメージのとおり、若い人への訴求力が強い。ブランドデビットは20代で最高の20%、BNPLは10代で最高の18%という利用率となっている。

最後に、QRコード決済アプリは他のいずれのカテゴリーとも異なり、年齢階層に関わらずまんべんなく利用率が高い。インターネット調査であることを考慮しても、他カテゴリーとの違いは顕著である。日本の消費者に広く訴求できていることが分かる結果となった。

QRコードを始めキャッシュレス決済の利用増、現金は利用減

今回調査では、「1年前に比べたときの、利用の増減」も聴取した。各カテゴリーの利用者を対象に、「かなり増えた」「増えた」「変わらない」「減った」「かなり減った」の5段階で回答してもらった。その結果を示したものが図4である。

図4 1年前と比較した決済サービス利用の変化

利用増を申告した人の割合がもっとも高かったのはQRコード決済アプリで、利用者の6割が利用を増やしている。まさに破竹の勢いである。

その次に来るのはFeliCa型電子マネー、BNPL、そしてクレジットカードの3カテゴリーで、利用者の約3割が利用増を申告した。ただ、BNPLは利用減を申告した人の割合も若干高めに出ている。ブランドデビットは約2割が利用増、15%が利用減だった。

ブランドプリペイドはというと、利用減を申告した人が、利用増を申告した人よりも多い。ここにも利用減少のトレンドが見えている。

そして最後に、現金についても聴取している。現金の利用減を申告した人の割合は約4割と、いずれのキャッシュレス決済サービスよりも高い。日本のキャッシュレス化が着実に進行していることが明確に見て取れるデータである。

インフキュリオン・インサイトでは引き続き、「決済動向調査2022」のデータから日本のキャッシュレス事情を考察する記事を掲載していく予定です。