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コード決済とタッチ決済、2026年調査データから見える新たな局面

キャッシュレス決済のイメージ

発展を続ける日本のキャッシュレス決済市場

国内のキャッシュレス決済市場は、安定した成長を継続しています。経済産業省が公表した2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%(国内指標)に達したことが発表されました。政府が掲げる「2030年までに65%」という中間目標に向け、着実な進展を示しています。(※1)

インフキュリオンでは国内の決済動向の変化および消費者の行動変容を把握するため、2015年より定期的に「決済動向調査」を実施しています。2026年4月に実施した最新の「決済動向2026年調査」(※2)においても、回答者824人の4割弱が「1年前と比較して現金の利用が減った」と回答しました。消費者の日常生活における脱・現金化の流れは着実に進行しています(※3)。

今回は、最新調査データから見えてきた「コード決済アプリの市場フェーズ変化」および「クレジットカードにおけるタッチ決済の定着」という、国内決済市場における2つの大きな構造変化について詳述します。

※1 出典:「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(経済産業省)https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331006/20260331006.html
※2 参考:「インフキュリオン、「決済動向2026年調査」結果を発表 ~コード決済の利用率が2019年以降で初の減少。クレジットカードはタッチ決済が利用方法の最多に~」(株式会社インフキュリオン)https://infcurion.com/news/news-20260708_001/
※3 現金利用の減少傾向については図3を参照。

<調査概要>

調査手法インターネット調査
調査地域日本国内
全体調査対象者16~69歳男女(20,000人)
詳細調査対象者勤労状況・世帯年収・生計上の立場(扶養者・被扶養者)の3観点を組み合わせた8カテゴリに属する調査対象者から各カテゴリ103人ずつ無作為に抽出(8カテゴリ×103人=824人)
調査期間2026年4月3日~4月6日
調査主体株式会社インフキュリオン

 

コード決済アプリ利用率が初の減少

今回の調査において最も注目すべき変化のひとつが、コード決済アプリの利用率推移です(図1)。

図1 コード決済アプリ利用率の推移

図1:「コード決済アプリ利用率の推移 2019~2026年」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「以下の決済カード・決済アプリ・決済サービスの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」(60の選択肢から利用しているものを全て選択する複数回答)
コード決済アプリ利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のコード決済アプリを選択した人の割合

2018年以降、各事業者の積極的な加盟店開拓や大規模な還元施策等を背景に、コード決済アプリの利用率は急速な拡大を続けてきました。当社の「決済動向調査」においても、「2019年調査」から「2025年調査」まで毎年最高値を更新し、2025年には72%に達していました。

しかし、2026年4月の最新調査においては71%(前年比1ポイント減)となり、調査開始以来初めて利用率が減少する結果となりました。

主要なキャッシュレス決済手段の中で常にトップの利用率を維持するクレジットカードに対し、コード決済アプリはこれを短期間で追い上げてきました。(図2)。いずれはクレジットカードを抜き去ることも考えられましたが、今回の結果からは、今後もクレジットカードの水準に届かないまま推移していく可能性も示唆されます。

図2 クレジットカードとコード決済アプリ 利用率の推移

図2:「クレジットカードとコード決済アプリ 利用率の推移 2019~2026年」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「以下の決済カード・決済アプリ・決済サービスの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」(60の選択肢から利用しているものを全て選択する複数回答)
クレジットカード利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のクレジットカードを選択した人の割合
コード決済アプリ利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のコード決済アプリを選択した人の割合

ただ、コード決済アプリ利用者の「実際の利用の変化」に関するデータを併せて分析すると、市場の異なる実態が見えてきます。

主要なキャッシュレス決済手段それぞれの利用者を対象に、1年前と比較した利用増減を尋ねたところ、「利用が増えた(かなり増えた+増えた)」と回答した利用者の割合は、コード決済アプリが46%で全決済手段の中で最も高い数値を示しました(図3)。これはクレジットカード(27%)やFeliCa型電子マネー(30%)を大きく引き離す水準です。

図3 利用増のトップはコード決済アプリ 現金利用は減少傾向を継続

図3:「利用増のトップはコード決済アプリ 現金利用は減少傾向を継続」
詳細調査においてそれぞれの決済手段の利用者が回答
設問文:「1年前とくらべて、あなた自身の現在の決済方法に変化はありますか。以下のそれぞれについて、利用の増減についてお答えください。」(単一回答)

コード決済の利用率が今回初めて前年を下回ったことは、コード決済を新たに利用し始める人が以前よりも減少してきたことを示唆します。その一方で、既に利用しているユーザーの46%は1年前よりも利用が増えたと回答しています。既存ユーザーにおける利用は今後も伸び続けるとみられ、キャッシュレス化の一翼を担ってきたコード決済は、今後も存在感を維持していくと見込まれます。

さらに図3では、回答者824人の4割弱(37%)が現金利用の減少を回答しています。消費者の日常生活の脱・現金化の流れは着実に進行していることが読み取れます。

クレジットカード「タッチ決済」の定着

コード決済アプリの利用率拡大にひとつの区切りが付いた一方で、クレジットカードでは利用方法における世代交代が起きています。直近6カ月間における店頭レジでのクレジットカード・デビットカード利用方法について調査したところ、「カードをかざしてタッチ決済」と回答したクレジットカード利用者は39%と最多となりました(図4)。さらに「カードを登録したスマートフォンアプリでタッチ決済」と回答した利用者と合わせると「カードまたはスマートフォンアプリによるタッチ決済が最も多かった」というクレジットカード利用者は52%に達しており、日常的な決済体験として広く定着していることがわかりました。

図4 タッチ決済の普及とクレジットカード利用増への影響

図4:「タッチ決済の普及とクレジットカード利用増への影響」
(左)詳細調査においてクレジットカード利用者719人が回答
(左)設問文:「直近6カ月間の、クレジットカード/デビットカードをお店のレジで利用する場面で、もっとも回数の多かった方法をひとつお答えください。」(単一回答)
(右)詳細調査においてクレジットカード利用が1年前より増えたと回答した187人が回答
(右)設問文:「あなたのクレジットカード利用が増えたことに、「タッチ決済」はどの程度影響していますか。」(単一回答)

さらに、「クレジットカードの利用が1年前より増えた」と回答した利用者において、7割弱が「タッチ決済が利用増に影響している」と回答しています(強く影響19%、ある程度影響50%)。タッチ決済がクレジットカード利用増につながっていることを示唆する結果となりました(図4)。

消費者が感じる「決済体験のスムーズさ」に関する比較データにおいても、タッチ決済の優位性は顕著です。クレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している層に対し、支払いの際に最も「スムーズで楽だ」と感じる手段を尋ねたところ、以下の回答結果となりました(図5)。

  • 物理カードの「タッチ決済」:35%
  • スマートフォンをかざす「タッチ決済」:28%
  • スマートフォンでコードを提示(読み取ってもらう):16%
  • 物理カードの差し込みと暗証番号入力:9%
  • スマートフォンでコードをスキャン(自身で金額入力):0%

物理カードとスマートフォンを合わせた「タッチ決済」が6割以上の支持を集めており、「かざすだけ」という決済体験が消費者から高く評価されていることがわかります。

図5 クレジットカードとコード決済 「スムーズで楽」なのはタッチ決済

図5:「クレジットカードとコード決済 「スムーズで楽」なのはタッチ決済」
詳細調査においてクレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している498人が回答
設問文:「あなたは前の質問で、クレジットカードとQRコード決済アプリの両方を利用しているとお答えになりました。お店でお金を払うとき、以下のうちでもっとも「スムーズで楽だ」と感じるものはどれですか。クレジットカードとQRコード決済アプリを比較してお答えください。」(単一回答)

さらに、「荷物を減らす等の理由で決済手段を最終的にひとつに絞るならどのスタイルを選ぶか」という単一回答の設問においても、「スマートフォンでタッチ決済(34%)」がトップとなり、スマートフォンでのQRコード決済(31%)や物理クレジットカード(21%)を上回りました(図6)。

図6 決済手段をひとつに絞るならば スマートフォンの「タッチ決済」がトップ

図6:「決済手段をひとつに絞るならば スマートフォンの「タッチ決済」がトップ」
詳細調査においてクレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している498人が回答
設問文:「もし手荷物を減らすためなどの理由で、決済手段をひとつに絞るとしたら、あなたは最終的にどのスタイルを選びたいですか。」(単一回答)

ただし、店舗での決済体験は、消費者の購買体験のごく一部です。店舗検索機能やポイントカード機能、クーポン機能などの来店促進機能と連携した顧客接点を構築し、よりよい購買体験を実現するうえでは、既に多くのアプリに組み込まれてきたコード決済が先んじてきました。それぞれ異なる強みを持つタッチ決済とコード決済が購買体験をどのように進化させてゆくかは、今後の注目ポイントのひとつです。

公共交通機関への拡大

「タッチ決済」の拡大は、店舗のレジ前だけでなく、公共交通機関の利用時の決済行動にも変化をもたらしそうです。今回の調査にて、全国各地で導入が進む鉄道や路線バスにおけるクレジットカード等の「タッチ決済」利用意欲について調査したところ、鉄道利用者/路線バス利用者ともに約6割が「積極的に利用したい」または「状況に応じて利用したい」と回答しており、利用に前向きであるというデータが得られました(図7)。地域差もほとんど見られず、全国的なニーズの高さが示されています(図8)。

図7 鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲

図7:「鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「最近、全国各地の鉄道や路線バスで、クレジットカードの「タッチ決済」が利用できるようになってきています。※交通ICカードではなく、Visa・Mastercard・JCBなどのクレジットカードでのタッチ決済です。これからの1年間で、あなた自身は、鉄道や路線バスで「クレジットカードのタッチ決済」をどのくらい利用したいと思いますか。※通勤や通学、日常的なお出かけで利用する近隣の鉄道やバスを指します※デビットカード/プリペイドカードの「タッチ決済」も含みます」(単一回答)

 

図8 鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲 大きな地域差は見られない

図8:「鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲 大きな地域差は見られない」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「最近、全国各地の鉄道や路線バスで、クレジットカードの「タッチ決済」が利用できるようになってきています。※交通ICカードではなく、Visa・Mastercard・JCBなどのクレジットカードでのタッチ決済です。これからの1年間で、あなた自身は、鉄道や路線バスで「クレジットカードのタッチ決済」をどのくらい利用したいと思いますか。※通勤や通学、日常的なお出かけで利用する近隣の鉄道やバスを指します※デビットカード/プリペイドカードの「タッチ決済」も含みます」(単一回答)

国内のキャッシュレス決済市場は、単なる「普及の量」を競うフェーズから、消費者がシーンに応じて最適な手段を選ぶ「質の模索」という新たなステージへと歩みを進めています。タッチ決済とコード決済がそれぞれの強みをいかし、今後の購買体験をどのようにアップデートしていくのか、引き続きその変化に注目が集まります。

QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
各社の社名、製品名およびサービス名は、各社の商号、商標または登録商標です。

コード決済とタッチ決済、2026年調査データから見える新たな局面

森岡 剛2026.08.14

キャッシュレス決済のイメージ

発展を続ける日本のキャッシュレス決済市場

国内のキャッシュレス決済市場は、安定した成長を継続しています。経済産業省が公表した2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%(国内指標)に達したことが発表されました。政府が掲げる「2030年までに65%」という中間目標に向け、着実な進展を示しています。(※1)

インフキュリオンでは国内の決済動向の変化および消費者の行動変容を把握するため、2015年より定期的に「決済動向調査」を実施しています。2026年4月に実施した最新の「決済動向2026年調査」(※2)においても、回答者824人の4割弱が「1年前と比較して現金の利用が減った」と回答しました。消費者の日常生活における脱・現金化の流れは着実に進行しています(※3)。

今回は、最新調査データから見えてきた「コード決済アプリの市場フェーズ変化」および「クレジットカードにおけるタッチ決済の定着」という、国内決済市場における2つの大きな構造変化について詳述します。

※1 出典:「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(経済産業省)https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331006/20260331006.html
※2 参考:「インフキュリオン、「決済動向2026年調査」結果を発表 ~コード決済の利用率が2019年以降で初の減少。クレジットカードはタッチ決済が利用方法の最多に~」(株式会社インフキュリオン)https://infcurion.com/news/news-20260708_001/
※3 現金利用の減少傾向については図3を参照。

<調査概要>

調査手法インターネット調査
調査地域日本国内
全体調査対象者16~69歳男女(20,000人)
詳細調査対象者勤労状況・世帯年収・生計上の立場(扶養者・被扶養者)の3観点を組み合わせた8カテゴリに属する調査対象者から各カテゴリ103人ずつ無作為に抽出(8カテゴリ×103人=824人)
調査期間2026年4月3日~4月6日
調査主体株式会社インフキュリオン

 

コード決済アプリ利用率が初の減少

今回の調査において最も注目すべき変化のひとつが、コード決済アプリの利用率推移です(図1)。

図1 コード決済アプリ利用率の推移

図1:「コード決済アプリ利用率の推移 2019~2026年」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「以下の決済カード・決済アプリ・決済サービスの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」(60の選択肢から利用しているものを全て選択する複数回答)
コード決済アプリ利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のコード決済アプリを選択した人の割合

2018年以降、各事業者の積極的な加盟店開拓や大規模な還元施策等を背景に、コード決済アプリの利用率は急速な拡大を続けてきました。当社の「決済動向調査」においても、「2019年調査」から「2025年調査」まで毎年最高値を更新し、2025年には72%に達していました。

しかし、2026年4月の最新調査においては71%(前年比1ポイント減)となり、調査開始以来初めて利用率が減少する結果となりました。

主要なキャッシュレス決済手段の中で常にトップの利用率を維持するクレジットカードに対し、コード決済アプリはこれを短期間で追い上げてきました。(図2)。いずれはクレジットカードを抜き去ることも考えられましたが、今回の結果からは、今後もクレジットカードの水準に届かないまま推移していく可能性も示唆されます。

図2 クレジットカードとコード決済アプリ 利用率の推移

図2:「クレジットカードとコード決済アプリ 利用率の推移 2019~2026年」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「以下の決済カード・決済アプリ・決済サービスの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」(60の選択肢から利用しているものを全て選択する複数回答)
クレジットカード利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のクレジットカードを選択した人の割合
コード決済アプリ利用率の算出方法:回答者のうち、1つ以上のコード決済アプリを選択した人の割合

ただ、コード決済アプリ利用者の「実際の利用の変化」に関するデータを併せて分析すると、市場の異なる実態が見えてきます。

主要なキャッシュレス決済手段それぞれの利用者を対象に、1年前と比較した利用増減を尋ねたところ、「利用が増えた(かなり増えた+増えた)」と回答した利用者の割合は、コード決済アプリが46%で全決済手段の中で最も高い数値を示しました(図3)。これはクレジットカード(27%)やFeliCa型電子マネー(30%)を大きく引き離す水準です。

図3 利用増のトップはコード決済アプリ 現金利用は減少傾向を継続

図3:「利用増のトップはコード決済アプリ 現金利用は減少傾向を継続」
詳細調査においてそれぞれの決済手段の利用者が回答
設問文:「1年前とくらべて、あなた自身の現在の決済方法に変化はありますか。以下のそれぞれについて、利用の増減についてお答えください。」(単一回答)

コード決済の利用率が今回初めて前年を下回ったことは、コード決済を新たに利用し始める人が以前よりも減少してきたことを示唆します。その一方で、既に利用しているユーザーの46%は1年前よりも利用が増えたと回答しています。既存ユーザーにおける利用は今後も伸び続けるとみられ、キャッシュレス化の一翼を担ってきたコード決済は、今後も存在感を維持していくと見込まれます。

さらに図3では、回答者824人の4割弱(37%)が現金利用の減少を回答しています。消費者の日常生活の脱・現金化の流れは着実に進行していることが読み取れます。

クレジットカード「タッチ決済」の定着

コード決済アプリの利用率拡大にひとつの区切りが付いた一方で、クレジットカードでは利用方法における世代交代が起きています。直近6カ月間における店頭レジでのクレジットカード・デビットカード利用方法について調査したところ、「カードをかざしてタッチ決済」と回答したクレジットカード利用者は39%と最多となりました(図4)。さらに「カードを登録したスマートフォンアプリでタッチ決済」と回答した利用者と合わせると「カードまたはスマートフォンアプリによるタッチ決済が最も多かった」というクレジットカード利用者は52%に達しており、日常的な決済体験として広く定着していることがわかりました。

図4 タッチ決済の普及とクレジットカード利用増への影響

図4:「タッチ決済の普及とクレジットカード利用増への影響」
(左)詳細調査においてクレジットカード利用者719人が回答
(左)設問文:「直近6カ月間の、クレジットカード/デビットカードをお店のレジで利用する場面で、もっとも回数の多かった方法をひとつお答えください。」(単一回答)
(右)詳細調査においてクレジットカード利用が1年前より増えたと回答した187人が回答
(右)設問文:「あなたのクレジットカード利用が増えたことに、「タッチ決済」はどの程度影響していますか。」(単一回答)

さらに、「クレジットカードの利用が1年前より増えた」と回答した利用者において、7割弱が「タッチ決済が利用増に影響している」と回答しています(強く影響19%、ある程度影響50%)。タッチ決済がクレジットカード利用増につながっていることを示唆する結果となりました(図4)。

消費者が感じる「決済体験のスムーズさ」に関する比較データにおいても、タッチ決済の優位性は顕著です。クレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している層に対し、支払いの際に最も「スムーズで楽だ」と感じる手段を尋ねたところ、以下の回答結果となりました(図5)。

  • 物理カードの「タッチ決済」:35%
  • スマートフォンをかざす「タッチ決済」:28%
  • スマートフォンでコードを提示(読み取ってもらう):16%
  • 物理カードの差し込みと暗証番号入力:9%
  • スマートフォンでコードをスキャン(自身で金額入力):0%

物理カードとスマートフォンを合わせた「タッチ決済」が6割以上の支持を集めており、「かざすだけ」という決済体験が消費者から高く評価されていることがわかります。

図5 クレジットカードとコード決済 「スムーズで楽」なのはタッチ決済

図5:「クレジットカードとコード決済 「スムーズで楽」なのはタッチ決済」
詳細調査においてクレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している498人が回答
設問文:「あなたは前の質問で、クレジットカードとQRコード決済アプリの両方を利用しているとお答えになりました。お店でお金を払うとき、以下のうちでもっとも「スムーズで楽だ」と感じるものはどれですか。クレジットカードとQRコード決済アプリを比較してお答えください。」(単一回答)

さらに、「荷物を減らす等の理由で決済手段を最終的にひとつに絞るならどのスタイルを選ぶか」という単一回答の設問においても、「スマートフォンでタッチ決済(34%)」がトップとなり、スマートフォンでのQRコード決済(31%)や物理クレジットカード(21%)を上回りました(図6)。

図6 決済手段をひとつに絞るならば スマートフォンの「タッチ決済」がトップ

図6:「決済手段をひとつに絞るならば スマートフォンの「タッチ決済」がトップ」
詳細調査においてクレジットカードとコード決済アプリの両方を利用している498人が回答
設問文:「もし手荷物を減らすためなどの理由で、決済手段をひとつに絞るとしたら、あなたは最終的にどのスタイルを選びたいですか。」(単一回答)

ただし、店舗での決済体験は、消費者の購買体験のごく一部です。店舗検索機能やポイントカード機能、クーポン機能などの来店促進機能と連携した顧客接点を構築し、よりよい購買体験を実現するうえでは、既に多くのアプリに組み込まれてきたコード決済が先んじてきました。それぞれ異なる強みを持つタッチ決済とコード決済が購買体験をどのように進化させてゆくかは、今後の注目ポイントのひとつです。

公共交通機関への拡大

「タッチ決済」の拡大は、店舗のレジ前だけでなく、公共交通機関の利用時の決済行動にも変化をもたらしそうです。今回の調査にて、全国各地で導入が進む鉄道や路線バスにおけるクレジットカード等の「タッチ決済」利用意欲について調査したところ、鉄道利用者/路線バス利用者ともに約6割が「積極的に利用したい」または「状況に応じて利用したい」と回答しており、利用に前向きであるというデータが得られました(図7)。地域差もほとんど見られず、全国的なニーズの高さが示されています(図8)。

図7 鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲

図7:「鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「最近、全国各地の鉄道や路線バスで、クレジットカードの「タッチ決済」が利用できるようになってきています。※交通ICカードではなく、Visa・Mastercard・JCBなどのクレジットカードでのタッチ決済です。これからの1年間で、あなた自身は、鉄道や路線バスで「クレジットカードのタッチ決済」をどのくらい利用したいと思いますか。※通勤や通学、日常的なお出かけで利用する近隣の鉄道やバスを指します※デビットカード/プリペイドカードの「タッチ決済」も含みます」(単一回答)

 

図8 鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲 大きな地域差は見られない

図8:「鉄道/路線バスでのタッチ決済利用意欲 大きな地域差は見られない」
全体調査において2万人全員が回答
設問文:「最近、全国各地の鉄道や路線バスで、クレジットカードの「タッチ決済」が利用できるようになってきています。※交通ICカードではなく、Visa・Mastercard・JCBなどのクレジットカードでのタッチ決済です。これからの1年間で、あなた自身は、鉄道や路線バスで「クレジットカードのタッチ決済」をどのくらい利用したいと思いますか。※通勤や通学、日常的なお出かけで利用する近隣の鉄道やバスを指します※デビットカード/プリペイドカードの「タッチ決済」も含みます」(単一回答)

国内のキャッシュレス決済市場は、単なる「普及の量」を競うフェーズから、消費者がシーンに応じて最適な手段を選ぶ「質の模索」という新たなステージへと歩みを進めています。タッチ決済とコード決済がそれぞれの強みをいかし、今後の購買体験をどのようにアップデートしていくのか、引き続きその変化に注目が集まります。

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この記事の著者

森岡 剛

株式会社インフキュリオン/主席アナリスト/2014年より調査分析業務の中核を担う。特に決済とフィンテックに関する海外事例分析に定評。戦略コンサルティングにおけるアドバイザーを務める一方、雑誌やWebメディアにて情報発信も行う。Twitterアカウント(@infmorioka)でも発信中。

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