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「キャッシュレス非対応」が集客リスクに?

決済動向2026年調査 対面決済編 メインビジュアル

前回記事 では、コード決済アプリの利用率推移や普及が進むクレジットカードのタッチ決済など、データから見えてきたキャッシュレス決済の新たな局面について解説しました。

第2回となる今回は、消費者の日々の暮らしに最も身近な「実店舗レジでの対面決済」に焦点を当てます。当社の「決済動向2026年調査」のデータ(※1)をもとに、対面15業種における主要決済手段の最新トレンドを解説するとともに、高まる消費者のキャッシュレス志向と、「キャッシュレス非対応」がもたらす集客リスクに迫ります。

※1 参考:「インフキュリオン、「決済動向2026年調査」結果を発表 ~コード決済の利用率が2019年以降で初の減少。クレジットカードはタッチ決済が利用方法の最多に~」(株式会社インフキュリオン)https://infcurion.com/news/news-20260708_001/

<調査概要>

調査手法インターネット調査
調査地域日本国内
全体調査対象者16~69歳男女(20,000人)
詳細調査対象者勤労状況・世帯年収・生計上の立場(扶養者・被扶養者)の3観点を組み合わせた8カテゴリに属する調査対象者から各カテゴリ103人ずつ無作為に抽出(8カテゴリ×103人=824人)
調査期間2026年4月3日~4月6日
調査主体株式会社インフキュリオン

対面業種で進む「現金離れ」

まずは「対面15業種における決済方法」のデータを図1に示します。各業種において「過去1年間で買い物をしたりお金を払って利用したことがあった」と回答した方を対象に、もっとも利用した決済手段を単一回答で尋ねた結果を、「現金」と回答した人の割合が大きい順に並べたものです。

図1 対面15業種における決済方法

図1:「対面15業種における決済方法」、
詳細調査において、それぞれの業種で過去1年間に買い物をしたりお金を払って利用することがあった人が回答、
設問文:「それでは、実際に利用している決済手段をお答えください。もっとも利用している決済手段を1つお選びください。」(それぞれの業種ごとに単一回答)

図1からは、業種ごとに主要な決済手段が大きく異なることが読み取れます。この差は、消費者側の選好だけでなく、店舗側のキャッシュレス対応状況の違いも反映していると考えられます。

まず現金をメインとする利用者が半数を超えているのは「病院、クリニック」(61%)、「美容院、理髪店、ネイルサロン、エステなど美容サービス」(54%)、そして「処方薬局」(54%)の3業種しかありません。日本の消費者の現金離れを印象付けています。

次はクレジットカードです。比較的高単価な業種における第一の選択肢として定着しています。「家電量販店、電器店」(50%)や「百貨店、ショッピングセンター」(48%)、「ガソリンスタンド」(48%)、「衣料品店、服飾雑貨店」(38%)においてトップとなる一方、単価が低めの「コンビニ」や「ファストフード」での利用率は20%前後に留まるなど、対照的な結果となりました。

そしてコード決済アプリは、手軽さが求められる日常的な購買シーンを中心に浸透しています。「コンビニ」(40%)、「ファストフード」(38%)、「ドラッグストア、日用雑貨」(33%)といった、利用頻度が高く低単価な業種において、他の手段を抑えて最も利用されています。

ここまで、「2026年調査」の結果を分析しました。次に、2年前の調査結果と比較することで、対面業種における決済手段がどのように変化したのかを見てみましょう。表1に、「2024年調査」と「2026年調査」の間の各決済手段のパーセンテージポイント(以下、pt)の増減を示しています(▲は減少、記号のないものは増加です)。現金の減少が大きい順に業種を並べています。

表1 対面15業種における主要決済手段の変化 2024年vs2026年

表1:「対面15業種における主要決済手段の変化:2024年 vs. 2026年」、
「2024年調査」と「2026年調査」の間のパーセンテージポイントの増減(現金の減少が大きい順)

表1でまず気づくことは、ほぼすべての業種において「現金をメイン決済とする消費者」の割合が減少していることです。

中でも非常に大きな変化が見られたのが「タクシー」です。タクシーにおいて現金をメイン利用する人は、2024年比で23pt減少しました。その受け皿として、クレジットカードとコード決済アプリがそれぞれ11pt伸長しており、短期間で一気にキャッシュレス決済利用が進んだことがうかがえます。

クレジットカードは「タクシー」(+11pt)や「病院、クリニック」(+6pt)などで伸びた一方、「家電量販店、電器店」(▲7pt)や「ガソリンスタンド」(▲4pt)、「衣料品店、服飾雑貨店」(▲4pt)などで減少しており、業種によって拡大・縮小が入り混じる結果となっています。

コード決済アプリは調査対象15業種中13業種で伸びました。始まった当初は低単価業種での利用がメインだったコード決済アプリですが、最近では「ガソリンスタンド」(+5pt)や「衣料品店、服飾雑貨店」(+4pt)などの高単価業種でもメインの決済手段として浸透が進んでいることがうかがえます。

興味深いのは電子マネーの利用動向です。表1では、幅広い業種でメイン利用者が増加傾向にあることが示されており、これまでの調査(たとえば2025年調査 ※2)で見られた減少傾向が反転したように見えます。これは、前回記事で解説した、タッチ決済の「かざして決済」によるスムーズな決済体験への高評価が、電子マネーの決済体験の再評価につながっているのかもしれません。今後の調査でも注視していきたいと思います。

※2 出典:「コード決済が高単価業種に拡大、現金は医療・美容分野で主流 ~決済動向2025年調査~」(インフキュリオン・インサイト)https://insight.infcurion.com/business/2025-cash-decline-while-payment-app-expand/

消費者の64%を占める「キャッシュレス積極層」

次に、消費者自身のキャッシュレス決済に対するマインドに注目してみます。「普段の生活で、できるだけキャッシュレス決済を利用したいと思うか」と尋ねたところ、「強くそう思う」「そう思う」と回答した「キャッシュレス積極層」は全体の64%と多数派となっています。一方で、「そう思わない」「全くそう思わない」と回答した「キャッシュレス回避層」は13%、「どちらともいえない」とする「保留層」は23%にとどまりました。

図2 キャッシュレス積極層が64%

図2:「できるだけキャッシュレス決済を利用したい「キャッシュレス積極層」が64%」、
全体調査において2万人全員が回答、
設問文:「あなたは普段の生活で、「できるだけキャッシュレス決済を利用したい」と思いますか。」(単一回答)

同じデータを、回答者の居住地域ごと・年齢階層ごとに集計したものが図3です。地域別や年齢階層別で極端な偏りは見られません。日本全国・幅広い層にキャッシュレス志向が定着していることが分かります。

図3 キャッシュレス積極層 地域別/年齢階層別

図3:「「キャッシュレス積極層」 地域別/年齢階層別」、
全体調査において2万人全員の回答結果を、回答者の地域および年齢階層ごとに集計
設問文:「あなたは普段の生活で、「できるだけキャッシュレス決済を利用したい」と思いますか。」(単一回答)

「キャッシュレス非対応」が集客リスクに

キャッシュレス決済が日常に浸透した結果、買い物をするときの「店舗の選択基準」にも変化が現れています。

図4に、「キャッシュレス決済が利用できないこと」が、飲食店や小売店の選択にどのように影響するかを尋ねた結果を示します。全体(824人)の48%がキャッシュレス決済可否を意識してお店を選ぶことがあることがわかりました。

図4 キャッシュレス非対応店舗での買い物を回避する行動

図4:「キャッシュレス非対応店舗での買い物を回避する行動」、
詳細調査において824人全員が回答、
設問文:「あなたは、飲食店や小売店を利用するとき、「キャッシュレス決済(カード・コード決済・電子マネーなど)が利用できない」ことを理由に、そのお店の利用を避けたり、別のお店に変えたりすることがありますか。」(単一回答)

さらに、同じデータを「キャッシュレス積極層」・「キャッシュレス回避層」・「保留層」それぞれについて集計しなおしたところ、「キャッシュレス積極層」では6割弱がキャッシュレス非対応店舗を避けることがあることが示されました。

この結果は、店舗経営者や事業者にとって重要な示唆を含んでいます。店舗側が「現金しか使えなくても、商品やサービスが良ければお客様は来てくれる」と考えていたとしても、消費者は店頭や事前の情報検索の段階で「キャッシュレス非対応」であることを確認し、静かに他店へと流れてしまっている可能性があるためです。

「キャッシュレス積極層」が既に多数派である現状を考えると、キャッシュレス決済への対応は、もはや単なる「顧客利便性の向上策」にとどまりません。「非対応による集客リスクを回避し、来店機会の喪失を防ぎながら顧客を獲得・維持するための必須要件」へと変化していると言えます。

次回、第3回では「決済・ポイント・お店アプリ:顧客接点の最前線」をテーマにお届けします。単なる支払い手段を超えて、ポイントプログラムや店舗公式アプリがどのように消費者の購買行動や来店動機と結びついているのか、顧客接点としての最新動向を深掘りしていきます。

各社の社名、製品名およびサービス名は、各社の商号、商標または登録商標です。

「キャッシュレス非対応」が集客リスクに?

森岡 剛2026.09.09

決済動向2026年調査 対面決済編 メインビジュアル

前回記事 では、コード決済アプリの利用率推移や普及が進むクレジットカードのタッチ決済など、データから見えてきたキャッシュレス決済の新たな局面について解説しました。

第2回となる今回は、消費者の日々の暮らしに最も身近な「実店舗レジでの対面決済」に焦点を当てます。当社の「決済動向2026年調査」のデータ(※1)をもとに、対面15業種における主要決済手段の最新トレンドを解説するとともに、高まる消費者のキャッシュレス志向と、「キャッシュレス非対応」がもたらす集客リスクに迫ります。

※1 参考:「インフキュリオン、「決済動向2026年調査」結果を発表 ~コード決済の利用率が2019年以降で初の減少。クレジットカードはタッチ決済が利用方法の最多に~」(株式会社インフキュリオン)https://infcurion.com/news/news-20260708_001/

<調査概要>

調査手法インターネット調査
調査地域日本国内
全体調査対象者16~69歳男女(20,000人)
詳細調査対象者勤労状況・世帯年収・生計上の立場(扶養者・被扶養者)の3観点を組み合わせた8カテゴリに属する調査対象者から各カテゴリ103人ずつ無作為に抽出(8カテゴリ×103人=824人)
調査期間2026年4月3日~4月6日
調査主体株式会社インフキュリオン

対面業種で進む「現金離れ」

まずは「対面15業種における決済方法」のデータを図1に示します。各業種において「過去1年間で買い物をしたりお金を払って利用したことがあった」と回答した方を対象に、もっとも利用した決済手段を単一回答で尋ねた結果を、「現金」と回答した人の割合が大きい順に並べたものです。

図1 対面15業種における決済方法

図1:「対面15業種における決済方法」、
詳細調査において、それぞれの業種で過去1年間に買い物をしたりお金を払って利用することがあった人が回答、
設問文:「それでは、実際に利用している決済手段をお答えください。もっとも利用している決済手段を1つお選びください。」(それぞれの業種ごとに単一回答)

図1からは、業種ごとに主要な決済手段が大きく異なることが読み取れます。この差は、消費者側の選好だけでなく、店舗側のキャッシュレス対応状況の違いも反映していると考えられます。

まず現金をメインとする利用者が半数を超えているのは「病院、クリニック」(61%)、「美容院、理髪店、ネイルサロン、エステなど美容サービス」(54%)、そして「処方薬局」(54%)の3業種しかありません。日本の消費者の現金離れを印象付けています。

次はクレジットカードです。比較的高単価な業種における第一の選択肢として定着しています。「家電量販店、電器店」(50%)や「百貨店、ショッピングセンター」(48%)、「ガソリンスタンド」(48%)、「衣料品店、服飾雑貨店」(38%)においてトップとなる一方、単価が低めの「コンビニ」や「ファストフード」での利用率は20%前後に留まるなど、対照的な結果となりました。

そしてコード決済アプリは、手軽さが求められる日常的な購買シーンを中心に浸透しています。「コンビニ」(40%)、「ファストフード」(38%)、「ドラッグストア、日用雑貨」(33%)といった、利用頻度が高く低単価な業種において、他の手段を抑えて最も利用されています。

ここまで、「2026年調査」の結果を分析しました。次に、2年前の調査結果と比較することで、対面業種における決済手段がどのように変化したのかを見てみましょう。表1に、「2024年調査」と「2026年調査」の間の各決済手段のパーセンテージポイント(以下、pt)の増減を示しています(▲は減少、記号のないものは増加です)。現金の減少が大きい順に業種を並べています。

表1 対面15業種における主要決済手段の変化 2024年vs2026年

表1:「対面15業種における主要決済手段の変化:2024年 vs. 2026年」、
「2024年調査」と「2026年調査」の間のパーセンテージポイントの増減(現金の減少が大きい順)

表1でまず気づくことは、ほぼすべての業種において「現金をメイン決済とする消費者」の割合が減少していることです。

中でも非常に大きな変化が見られたのが「タクシー」です。タクシーにおいて現金をメイン利用する人は、2024年比で23pt減少しました。その受け皿として、クレジットカードとコード決済アプリがそれぞれ11pt伸長しており、短期間で一気にキャッシュレス決済利用が進んだことがうかがえます。

クレジットカードは「タクシー」(+11pt)や「病院、クリニック」(+6pt)などで伸びた一方、「家電量販店、電器店」(▲7pt)や「ガソリンスタンド」(▲4pt)、「衣料品店、服飾雑貨店」(▲4pt)などで減少しており、業種によって拡大・縮小が入り混じる結果となっています。

コード決済アプリは調査対象15業種中13業種で伸びました。始まった当初は低単価業種での利用がメインだったコード決済アプリですが、最近では「ガソリンスタンド」(+5pt)や「衣料品店、服飾雑貨店」(+4pt)などの高単価業種でもメインの決済手段として浸透が進んでいることがうかがえます。

興味深いのは電子マネーの利用動向です。表1では、幅広い業種でメイン利用者が増加傾向にあることが示されており、これまでの調査(たとえば2025年調査 ※2)で見られた減少傾向が反転したように見えます。これは、前回記事で解説した、タッチ決済の「かざして決済」によるスムーズな決済体験への高評価が、電子マネーの決済体験の再評価につながっているのかもしれません。今後の調査でも注視していきたいと思います。

※2 出典:「コード決済が高単価業種に拡大、現金は医療・美容分野で主流 ~決済動向2025年調査~」(インフキュリオン・インサイト)https://insight.infcurion.com/business/2025-cash-decline-while-payment-app-expand/

消費者の64%を占める「キャッシュレス積極層」

次に、消費者自身のキャッシュレス決済に対するマインドに注目してみます。「普段の生活で、できるだけキャッシュレス決済を利用したいと思うか」と尋ねたところ、「強くそう思う」「そう思う」と回答した「キャッシュレス積極層」は全体の64%と多数派となっています。一方で、「そう思わない」「全くそう思わない」と回答した「キャッシュレス回避層」は13%、「どちらともいえない」とする「保留層」は23%にとどまりました。

図2 キャッシュレス積極層が64%

図2:「できるだけキャッシュレス決済を利用したい「キャッシュレス積極層」が64%」、
全体調査において2万人全員が回答、
設問文:「あなたは普段の生活で、「できるだけキャッシュレス決済を利用したい」と思いますか。」(単一回答)

同じデータを、回答者の居住地域ごと・年齢階層ごとに集計したものが図3です。地域別や年齢階層別で極端な偏りは見られません。日本全国・幅広い層にキャッシュレス志向が定着していることが分かります。

図3 キャッシュレス積極層 地域別/年齢階層別

図3:「「キャッシュレス積極層」 地域別/年齢階層別」、
全体調査において2万人全員の回答結果を、回答者の地域および年齢階層ごとに集計
設問文:「あなたは普段の生活で、「できるだけキャッシュレス決済を利用したい」と思いますか。」(単一回答)

「キャッシュレス非対応」が集客リスクに

キャッシュレス決済が日常に浸透した結果、買い物をするときの「店舗の選択基準」にも変化が現れています。

図4に、「キャッシュレス決済が利用できないこと」が、飲食店や小売店の選択にどのように影響するかを尋ねた結果を示します。全体(824人)の48%がキャッシュレス決済可否を意識してお店を選ぶことがあることがわかりました。

図4 キャッシュレス非対応店舗での買い物を回避する行動

図4:「キャッシュレス非対応店舗での買い物を回避する行動」、
詳細調査において824人全員が回答、
設問文:「あなたは、飲食店や小売店を利用するとき、「キャッシュレス決済(カード・コード決済・電子マネーなど)が利用できない」ことを理由に、そのお店の利用を避けたり、別のお店に変えたりすることがありますか。」(単一回答)

さらに、同じデータを「キャッシュレス積極層」・「キャッシュレス回避層」・「保留層」それぞれについて集計しなおしたところ、「キャッシュレス積極層」では6割弱がキャッシュレス非対応店舗を避けることがあることが示されました。

この結果は、店舗経営者や事業者にとって重要な示唆を含んでいます。店舗側が「現金しか使えなくても、商品やサービスが良ければお客様は来てくれる」と考えていたとしても、消費者は店頭や事前の情報検索の段階で「キャッシュレス非対応」であることを確認し、静かに他店へと流れてしまっている可能性があるためです。

「キャッシュレス積極層」が既に多数派である現状を考えると、キャッシュレス決済への対応は、もはや単なる「顧客利便性の向上策」にとどまりません。「非対応による集客リスクを回避し、来店機会の喪失を防ぎながら顧客を獲得・維持するための必須要件」へと変化していると言えます。

次回、第3回では「決済・ポイント・お店アプリ:顧客接点の最前線」をテーマにお届けします。単なる支払い手段を超えて、ポイントプログラムや店舗公式アプリがどのように消費者の購買行動や来店動機と結びついているのか、顧客接点としての最新動向を深掘りしていきます。

各社の社名、製品名およびサービス名は、各社の商号、商標または登録商標です。

この記事の著者

森岡 剛

株式会社インフキュリオン/主席アナリスト/2014年より調査分析業務の中核を担う。特に決済とフィンテックに関する海外事例分析に定評。戦略コンサルティングにおけるアドバイザーを務める一方、雑誌やWebメディアにて情報発信も行う。Twitterアカウント(@infmorioka)でも発信中。

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