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欧州のトークナイゼーション型モバイルウォレット:Vodafone Wallet

Goodluz/Bigstock.com

Apple Pay、Samsung Pay、Android PayなどグローバルITプレイヤーによるモバイル決済サービスが注目を集めています。それらに共通するのは、国際ブランドが設立した団体であるEMVCoの仕様に基づいたトークナイゼーションを活用していること。これは正規のカード番号ではなく、カード番号と同桁の別の番号である「トークン」を生成してアプリに登録し、それを使って決済してしまう、というもの。トークンを正規のカード番号に変換できるのはカードイシュアとトークンサービスプロバイダーのみなので、モバイル端末や店からのカード番号漏洩リスクがゼロになる、という画期的なサービスです。

トークナイゼーション概要(トークナイゼーションの概要)

上で挙げたモバイル決済サービスはVisa・Mastercard・American Expressなど国際ブランドが提供するトークナイゼーションを活用していますが、欧州では国際ブランド以外が提供するトークナイゼーションを用いたウォレットが展開中です。本稿はその概要を紹介します。

本稿で紹介するのはVodafone Wallet。Nilson ReportによるとVodafoneは世界第二位のモバイルキャリアで、同社の契約者の27%を欧州12か国が占めています。そのうち6カ国でVodafoneはモバイル決済サービスを展開しています。

例えば英国でのVodafone Wallet。Google Playから下記URLで提供中です。

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.vodafone.mwallet&hl=ja

紹介動画も閲覧可能です。動画では触れていませんが、Visaブランドのクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードをアプリに登録し、非接触決済することができます。

Vodafone Walletもトークナイゼーションを活用しているため、カード番号は端末には格納されておらず、トークンを用いた決済となっています。ここでポイントとなるのは、トークンサービスを提供しているプロバイダー(TSP;トークンサービスプロバイダー)です。Apple Payなどと異なり、国際ブランドによるトークナイゼーションではなく、カナダのCarta Worldwide社のトークンサービスを活用しています。カード登録時にはVodafoneからCartaにリクエストが送信され、それを受けてCartaが生成したトークンはモバイル通信網を経由して端末のSIMに格納される、という流れです。トークンはSIM内のセキュアな領域(セキュアエレメント)に格納されるため、それに対応したSIMカードをモバイル端末に搭載していることが前提条件となります。なお、このSIMはGemalto(ジェムアルト)社のもの。英国での利用上限額は30ポンドに設定されています。

英国での開始されたことが大きなニュースとなったApple Payと異なり、日本では「知る人ぞ知る」サービスであるVodafone Wallet。しかし国際ブランド以外のTSPを用いており、かつApple Pay未開始の地域でも展開しているこのサービス。独自決済ネットワークを持ち、国際ブランドネットワークを経由しないオンアス取引が広く普及している日本において、多くのカード決済関係者の参考となるものと思います。

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