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外出自粛での買い物と金融のデジタルサービス拡大 ~決済動向6月調査~

経産省「キャッシュレス・ポイント還元」のインパクトについて考察した前回記事に引き続き、今回は4月上旬からの緊急事態宣言発令後の外出自粛がもたらした消費者行動の変化について、当社独自の「決済動向6月調査」の調査結果を紹介します。

外出自粛の影響

  • 44%の人が買い物行動に変化があったと回答
  • 初めて利用した、または利用が増えたサービスは「オンラインショッピングでの食材の注文」がトップ、「料理の宅配や出前の注文」が2位、「書籍のオンライン購入」が3位。10%以上の人がこれらを新規利用または利用を増やした。
  • 初めて利用した、または利用が増えた金融デジタルチャネルは、「銀行口座の残高や明細の確認」がトップ、「銀行口座からの振込・振替」が2位、「決済アプリでプリペイド残高を送金」が3位。

(「決済動向6月調査」の概要については前回記事で説明しています。)

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買い物行動の変化

新型コロナウイルス感染拡大、そして4月上旬の緊急事態宣言発令における外出自粛要請は、消費者の行動を大きく変えてしまうものでした。どのような変化が起こったのか、「決済動向6月調査」では買い物のやり方に焦点を当て、その具体的な変化について調査しました。

まず、下の図に設問文とその結果を示しています。2万人の回答者のうち、「変化はない」としたのは56%。残る44%の人は、初めて利用したサービスがあったり、利用を増やしたサービスがあったり、という「変化があった」と回答しました。

44%の人は外出自粛で買い物行動に変化があった

次の図に、買い物行動変化に関する詳細な結果を示します。赤い横棒は「初めて利用した」、緑の横棒は「利用が増えた」という回答で、それらを繋げて示しています。

約15%の人が新規利用/利用増でトップとなったのが「オンラインショッピングでの食材の注文」。日々の食材購入というもっとも身近な買い物行動でオンライン化・デジタル化が進行しました。

10%以上の人が新規利用・利用増で2位となったのは「料理の宅配や出前の注文」、3位は「書籍のオンライン購入」。外出自粛の非常時事態の中でも、食事を楽しんだり書物に親しむという行動でデジタルサービス利用者が増えました。

外出自粛で、オンラインショッピングでの食材の注文、料理の宅配や出前、書籍のオンライン購入の利用が増加

金融デジタルチャネル利用

スマートフォンやパソコンで利用できる様々な金融サービスを列挙し、初めて利用したもの・利用が増えたものを複数回答で全て選んでもらうという調査も実施しました。その結果が下の図です。「銀行口座の残高や明細の確認」という「参照系」のサービスを初めて利用した人が9%、利用が増えた人が8%で、合計15%の人が利用増となりました。

「銀行口座からの振込・振替」という「更新系」のサービスも同様に、それぞれ5%と7%で合計12%の人が利用増となりました。

スマートフォンやパソコンでの金融サービス利用の増加では、銀行口座の残高・明細確認がトップ、振込と振替が2位、決済アプリでのプリペイド残高送金が3位

ここで注目したいのが3位となった「決済アプリでプリペイド残高を送金」。7%の人が新規利用を開始し、4%の人は利用を増やしました。スマホ・パソコン経由での振込・振替も伸びていますので、デジタルチャネル経由での「資金移動」の利用が拡大したことになります。

出現したフィンテック潜在ユーザー

金融サービスの中でももっとも身近なものと言える「オンライン残高確認」「オンライン口座送金」、そして「オンラインプリペイド残高送金」。これらをスマホやパソコン経由で利用し始めた人は、フィンテックの新たな潜在ユーザーだと言えます。

日本のフィンテックの今後の発展に大きな役割を果たしそうな新たな潜在ユーザー像について分析しました。

まずは男女構成。調査のサンプルの男女比は半々なのですが、金融デジタルチャネルの新規利用者は男性6に女性4の比率に近く、男性が女性の約1.5倍で、男性偏重状態にあることがわかりました。

これは2019年3月時点のQRコード決済アプリ利用者像に近いものがあります。当時も利用者の6割が男性でしたが、1年後の2020年3月には男性偏重状態は既に解消され、利用者は男女半々となりました(そのデータはこちらの記事でご覧になれます)。今回の金融デジタルチャネルの3つのサービスでも、女性利用者の獲得が進んで男女半々となるのか、興味深いところです。

 

 

金融デジタルチャネルの新規利用者像 男女構成

次に新規利用者の年齢構成を示します。面白いのは、新規利用者が若年層で占められているわけではないということ。構成比率としては20代・30代が確かに大きくなっていますが、圧倒的というわけではありません。そして、50才以上の層が新規利用者の3割弱を占めています。

金融デジタルチャネルの新規利用者像 年齢構成

インターネット調査ですので、回答者はもともと一般消費者よりもネットリテラシーが高いという点には留意すべきですが、それでも金融デジタルチャネル利用が進んでいなかった50才以上の層で新規利用が広がったことは重要です。

また、この現象は新型コロナ禍における諸外国でも見られる傾向。米国PayPalでも新規ユーザーのうち50才以上がかなり高くなったため、この層に「シルバーテック層」という名を付けました。「決済動向6月調査」では、日本における「シルバーテック層」の出現が確認できたことも有意義だったと言えるでしょう。