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対面決済ではPayPay首位、非対面では楽天カード~決済動向2025年調査~

インフキュリオン独自の「決済動向2025年調査」から、日本のキャッシュレス決済市場の現在地を考察するシリーズ第2弾です。前回記事で概観した「クレジットカード」や「コード決済アプリ」といった大カテゴリーのトレンドから一歩踏み込み、今回は個別の決済サービスの利用状況を掘り下げます。

さらに、消費者が「お店のレジでよく利用する決済サービス」「インターネット経由での購入時によく利用する決済サービス」という、二つの異なる利用シーンにおける決済動向を考察します。対面と非対面で決済行動にどのような違いが見られるのか、より具体的な消費者の決済行動のリアルに迫ります。

前回記事:「コード決済アプリ利用率が過去最高を更新!非対面ではクレジットカードが群を抜く」、2025年6月

利用率トップはPayPay、2位は楽天カード

図1は、2万人における個別サービスの利用率です。2023年から2025年の3回分の調査データを示しています。

個別サービスの利用率推移 2025年4月までの直近2年間(複数回答; n=20,000)

2025年調査の利用率首位はPayPay(56%)、2位は楽天カード(49%)、3位は交通ICカード(36%)でした。

PayPayとPayPayカード

PayPayの登場は2018年。短期間で爆発的な成長を遂げ、2023年調査では初めて利用率首位の座を楽天カードから奪い取りました。それ以降、現在に至るまで利用率首位の座を維持しています。

図1では、2023年と2024年の利用率をグレーの縦棒で示しています。PayPayの利用率は直近2年間でも向上を続けていることが見て取れます。

また、PayPayカードも利用率を堅調に伸ばし、22%となりました。クレジットカードとしては楽天カード(49%)、イオンカード(23%)に次ぐ3位の地位を獲得しています。PayPayアプリとの連携による利便性の高さや、ポイント還元などの特典が、PayPayユーザーだけでなく、クレジットカードをメインで利用する層にも響いていると考えられます。

楽天カード・楽天ペイ・楽天Edy

楽天経済圏の総合力をうかがわせるのが楽天カード楽天ペイ・楽天Edyです。特に楽天カードは、2015年の初回調査から2023年調査までずっと利用率首位であり続け、今回の2025年4月調査でも2位の地位を守っています。楽天ペイは利用率27%でコード決済アプリとしてPayPayに次ぐ2位、楽天Edyも利用率11%でトップ集団に確固たる地位を築いています。ポイントを軸とした経済圏の強さが、多くのユーザーを引きつけているようです。

交通ICカードとゆうちょ銀行

FeliCa型電子マネーでは、交通ICカードが36%の利用率でトップでした 。交通ICカードは「非接触決済」の先駆けとして、かざすだけで利用できる手軽さが特徴です 。しかし近年、カード決済による「タッチ決済」が急速に普及しており、これまで交通ICカードが主流だった公共交通機関でもタッチ決済の導入が進んでいます 。この「交通キャッシュレス」の動向については、今後の記事で詳しく掘り下げていきます

ブランドデビットの利用率首位はゆうちょ銀行でした。「決済動向調査」では2021年調査を最後に、ゆうちょ銀行を調査対象にしていませんでしたが、今回調査から再び調査対象にしたところ、これまで首位だった楽天銀行を抜いて首位となっています。

同じく「キャリア決済」も今回初めて調査対象に加えたところ、利用率7%を獲得し上位グループ入りしています。スマートフォン料金と合算して支払える手軽さや、各キャリアのポイントプログラムとの連携が、ユーザーにとっての魅力となっているようです。

月払い型の後払いサービスではPayPayクレジットが利用率8%で首位、都度払い型の後払いサービスの首位はNP後払い(4%)でした。

お店のレジではPayPay首位、ネット通販では楽天カード首位

次に、消費者が「お店のレジでよく利用している決済手段」(対面決済)と「インターネット経由での購入時によく利用している決済手段」(非対面決済)にどのような違いがあるのかを詳細に見ていきましょう。同じサービスであっても、利用シーンによってその優位性が変化する点が非常に興味深い分析結果となっています。

図2 対面と非対面 それぞれにおいてよく利用されているもの(複数回答; n=20,000)

「お店のレジでよく利用しているもの」では首位PayPay(39%)、2位楽天カード(26%)、3位楽天ペイ(17%)となりました。図2では5%以上を獲得した上位グループを示していますが、赤(コード決済アプリ)・緑(国際ブランドカード)・黄色(FeliCa型電子マネー)の3色が入り乱れています。対面決済シーンでは、消費者はこれら3つのグループの決済サービスを、場面に応じて使い分けていることが示唆されます。

対照的に、インターネット経由での非対面決済においては、全く異なる傾向が見られます。

「インターネット経由での購入時によく利用しているもの」では楽天カード(38%)が首位で、2位PayPay(20%)に大きな差をつけています。非対面決済での楽天カードの大きな存在感を表しています。

非対面決済で5%以上を獲得した8サービスのうち、6つはクレジットカードで2つはコード決済アプリでした。非対面決済シーンではクレジットカードが主軸となっていることがうかがえます。