Bokuとの提携
グローバル展開しているキャリア決済サービス事業者のBokuは2015年12月10日、マイクロソフトとの提携を発表しました。両社はWindows 10を搭載したPC・タブレット・携帯電話デバイス上のWindows Storeでの支払手段として、携帯電話事業者が提供するキャリア決済に対応してゆくとのこと。まずは米国でスプリントのキャリア決済から開始し、他国へも展開してゆくとのことです。
参考情報:
- 「Boku Launches Carrier Billing for the new Windows Store」、BusinessWire、2015年12月10日
- 「Microsoft Is Following Apple And Offering Windows Users Pay-With-Your-Phone-Number」、Forbes、2015年12月10日
- 「What Microsoft’s Partnership with Boku Means」、Nasdaq、2015年12月11日
キャリア決済とは
日本の大手キャリアは国際ブランドプリペイドカード発行などで決済領域でも活発に事業を展開しています。もともと携帯キャリアは通信網と巨大な顧客基盤を持っているため、本来的に送金を含めた広義の決済事業との親和性が高いのです。
特に国内キャリアの場合、数千万人規模の顧客基盤に加えて、通信料など継続的に発生する債権の請求と回収の業務インフラを持っている点で、後払い決済と高い親和性を持っています。それを活かしたサービスの一つはキャリア決済。デジタルコンテンツなど様々な商品を購入する際に電話番号をIDとして決済できるサービスで、各社から「ドコモケータイ払い」、「auかんたん決済」、「ソフトバンクまとめて支払い」といった名称で提供されています。代金は通信料金と合算して請求・回収されます。
日本の大手キャリアのキャリア決済:
- ドコモケータイ払い:http://ent.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
- auかんたん決済:https://id.auone.jp/payment/pc/
- ソフトバンクまとめて決済:http://www.softbank.jp/mobile/service/payment/
キャリア決済への対応の意義に関する参考記事:
- 「キャリア決済への対応開始!急成長のオタマート」、ECのミカタ、2015年12月14日
上記の国内のキャリア決済サービスは後払いですが、プリペイド型のキャリア決済が普及している新興国も多く、特にクレジットカードや銀行口座の保有率が高くない国において、キャリア決済が消費者にとっての主要な決済手段となっていることもあります。
今回のMicrosoftの提携相手であるBokuはグローバルで40億人・70か国以上をカバーしているキャリア決済サービスを展開している事業者。Windows Storeでのキャリア決済は、決済インフラが普及していない新興国においても非対面決済手段を提供する点、そして先進諸国の消費者にとっては自分の電話番号で決済できるという利便性を提供できるという意義を持ちます。
様々なデバイスが繋がってゆくIoT時代。Microsoftだけでなく、Apple・Google・Sonyもキャリア決済の提供に動いています。これからは多種多様な機器が自ら決済する機能をもつようになっていくようです。
携帯キャリアなど異業種からの決済事業参入の動向などは「電子決済総覧2015-2016」にも情報をまとめています。
- 「電子決済総覧2015-2016」に見るクレジットカードと電子決済の現状と今後」、インフキュリオン・インサイト、2015年3月26日