アップルの「Apple Pay」、サムスンの「Samsung Pay」、グーグルの「Android Pay」など、スマートフォンで決済できるモバイル決済サービスが米国で盛り上がりを見せています。
特に「Apple Pay」には日本の決済業界関係者も多大な関心を寄せているところですが、実は現時点での米国最大のモバイル決済サービスは、スターバックスの「Starbucks Mobile Wallet」です。
米国スターバックスがモバイルウォレットアプリの提供を開始したのは2010年。アプリが生成するバーコードを店頭端末にかざすことで決済ができます。2015年4月末時点の報道によるとアクティブユーザー数1,600万人を誇り、1週間の決済トランザクション数は800万件。これは米国全体のモバイル決済トランザクション件数の19%に達しています。
スターバックスモバイルウォレットの成功要因として挙げられるのが、ロイヤリティープログラムとの連動。ウォレットで決済することで得られる「スター」を貯めて、各種クーポンに交換するなどのお得感が支持を集めています。
カード決済インフラを用いるモバイル決済サービスである「Apple Pay」とは異なる方式のこのサービスですが、米国におけるモバイル決済の普及にも貢献しています。「Apple Pay」の普及度に関するPhoenix社の調査によると、「Apple Pay」のユーザーの41%が「スターバックスモバイルウォレットも利用している」と回答しました。NFCやバーコード読み取りなど多様な方式が存在するモバイル決済ですが、その方式に関わらず、モバイル決済の利便性を体験したユーザーは他方式のモバイル決済も積極的に利用する傾向があると言えるでしょう。
参考情報
- 「Starbucks Gained 3 Million Additional Active Mobile Wallet Users」、LTP記事、2015年4月27日
- 「Like all mobile wallets before it, Apple Pay struggles with retailers」、ars technica記事、2015年4月2日 Phoenix社の「Apple Pay」ユーザー調査の概要が載っている。