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決済サービスにおける生体認証の活用

Patrick Foto/Bigstock.com

近年、パスワードに替わる新しい本人確認手段として、生体認証による手法が世間の注目を集めています。そこで、現在使われているものからリリース予定のものまで、生体認証を用いた幾つかの決済サービスを紹介します。

生体認証といっても多数の方式がありますが、本稿では指紋認証、顔認証、指静脈認証、そして心拍認証を取り上げます。

まずは指紋認証。これはiPhone搭載の「TouchID」が2014年にスタートした「Apple Pay」での認証に用いられ、決済時の指紋認証の大規模活用がスタートしました。また、SamsungのスマートフォンGalaxy S6に搭載される予定の「Samsung Pay」においても、同様に指紋による本人確認が導入される見通しです。スマートフォンへの搭載によって身近な存在となった指紋認証。決済においてもその活用が広がりつつあるようです。

上記はスマートフォンの指紋認証の応用ですが、より直接的な指紋認証活用としてはZwipeの生体認証カードがあります。これは指紋認証機能を搭載したEMV対応ペイメントカード。カード表面のセンサーで指紋を読み取らせながらでないと決済する必要があり、高いセキュリティを実現します。接触EMV・非接触EMVの両方に対応しています。カード券面への指紋認証機能の搭載は世界初で、2014年になマスターカードとの提携を発表。2015年のリリースに向けて推進しているとのことです。

顔認証分野ではPayPalが2013年11月から日本に導入した「ペイパル チェックイン支払」があります。これは、利用者が来店時にアプリを操作すると、来店したことがインターネット経由で店舗に通知され、店側の端末に表示される顔写真と本人の一致を店員が確認するもので、日本では「顔パス」と呼ばれることもあります。2014年4月には家電量販店のヤマダ電機での実証実験を行ったりと業界の関心を集めましたが、まだ広く普及するには至っていません。

顔認証を用いた海外サービスとしては「Smile to Pay」があります。これは中国の電子商取引大手・阿里巴巴(アリババ)のグループ会社、螞蟻金融服務集団と、顔認証技術の「Face++」が開発したもので、2015年3月のドイツ・ハノーヴァーでのIT見本市CeBITにて公開されました。こちらは利用者の顔をスキャンし、バックグラウンドで大量の顔データと照合を行うことで、99%の認証率を実現したとされます。

既にATMでの認証などにも使われている静脈認証。決済分野では、2007年に日立製作所が指静脈認証決済の実証実験を社員食堂において実施しましたが、こちらは広く普及するには至っていません。

また、Apple Watchに始まり、決済機能を搭載した腕時計(通称「ウェアラブル」)がIT業界のみならず、時計業界においても開発の機運が高まっています(参考までに、日本では2004年6月にJCBとカシオ計算機から非接触ICチップ搭載のクレジット決済機能付き腕時計が開発されています)。ウェアラブルの中には装着中の心拍リズムで本人確認を行うものもあり、生体認証技術の広がりを感じさせます。例えばカナダのベンチャー企業Nymi。これは心拍リズムを検知して非接触決済時の認証を行うブレスレットを開発しており、ロイヤル・バンク・オブ・カナダやMasterCardが支援しています。

署名やPIN入力の手間を省きながら高い安全性を実現しようとする生体認証型決済サービス。いずれの技術が主導権を握るのか、そもそも生体認証は本人確認の主流となりうるのか、各社動向と消費者の反応が注目されます。

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