FinTech協会設立発表とその反響
「フィンテック(FinTech)」とはFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、金融サービス領域において高度なIT活用を通してイノベーションを起こす取り組みを指しています。海外では大手企業によるフィンテック企業への出資や、既存大手金融機関とフィンテック企業の提携などが活発化しています。
そして日本のFinTech業界関係者が集まって情報交換・ネットワーキングする場として2014年からスタートした「FinTech Meetup」。当社インフキュリオンもスポンサー企業としてその運営の一翼を担ってきました。既に多くの記事が出ていますが、9月30日の第6回FinTech Meetupでは、一般社団法人FinTech協会の設立発表も行われ、FinTech Meetupから始まった「日本のフィンテックを元気に」という活動は次の段階に進みます。インフキュリオンも、フィンテックを通して、よりよい日本を創ることにこれからも貢献していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。(インサイト記事「フィンテックとインフキュリオン」も参照ください)
関連情報
- 「一般社団法人FinTech協会」、協会Webサイト
- 「【Fintech Meetup運営事務局】一般社団法人FinTech協会設立を発表、FinTechエコシステムの活性化および世界の金融業界における日本のプレゼンスの向上に貢献、「第6回 FinTech Meetup」開催!」、グッドウェイ、2015年10月1日
- 「FinTech協会、スタートアップ20社などで1日設立 省庁への働きかけやビジネス創出を」、exciteニュース、2015年9月30日
Meetupの概要
続いて、日本IBM株式会社のAPI Economy兼FintechアドバイザーであるRasmus Ekman氏による、「金融業界におけるAPIエコノミー」と題された基調講演。「金融機関にとってフィンテックは敵か、味方か?」という問いかけがよくなされていることを述べたあと、実際に米国の大銀行が担う機能それぞれについて、そのサービスを提供する専業フィンテック企業が既に存在することを指摘。これは「金融機関機能のアンバンドリング」と呼ばれることが多いですが、下記URLサイトの図のように、銀行のWebサイトに掲げられた各機能についてフィンテック企業が存在している状況を見ると、従来の金融機関の事業領域がフィンテック企業によって脅かされているようにも見えるのは確かです。
参考情報
- 「Disrupting Banking: The FinTech Startups Unbundling Wells Fargo & More」、Michael Dempsey、2015年3月30日
ここでEkman氏は、Citiや北欧のNordea銀行、オーストラリアWestpac銀行などの欧米の金融機関はフィンテックと協業していこうという動きが活発化していることを指摘。そこで「ハッカソン」を連携のきっかけとして開催することが多くなってきていることを紹介しました。
ハッカソンとは、「ハッカー・マラソン」。ハッカーというと企業などの情報システムに勝手に入り込み悪いことをする人物のようなイメージが日本では持たれがちですが、もともとの意味は「創造的なやり方で問題を解決する人」。ITスキルを持ったハッカーたちを集めて課題を与え、決められた時間内(例えば2日間)でデモを作って優劣を評価するというイベントをハッカソンと呼びます。Ekman氏はここでNordea銀行が開催した「Nordea Innovation Challenge」というハッカソン事例を動画で紹介。これは、2日間で「次世代モバイルバンキングアプリ」または「次世代コンスーマーサービスのためのデータ分析」という2つのテーマに関して、スウェーデンとフィンランドからの有志たちが参加したものでした。
参考情報
- 「The Nordea Innovation Challenge – Banking on the Future」、ibmsverigeのYouTube動画、2014年12月9日
金融機関がフィンテックを取り込んでいくにあたっては、API(外部のソフトウェアと連携するために作られた接点)を介した連携が主流となっているとのことで、今後の日本の金融機関とフィンテックの連携においても普及していくと思われます。最後にEkman氏は、日本IBMはテクノロジー提供、ベンチャー企業支援、大手金融機関とのシステム連携、フィンテックコミュニティへの参加とサポート、といった活動を通してフィンテックの発展を支援してゆくと述べ、基調講演を締めくくりました。
参考情報
- 「金融業界におけるAPIエコノミー / Fintech meetup / IBM」、Rasmus Ekman、本基調講演のスライド、2015年9月30日
そしてFinTech Meetup事務局からのFinTech協会設立の発表に続きましたが、そのあたりは前掲の報道記事などに詳しく記載されています。今回のミートアップは、協会という、今までよりも大きな活動に繋がるイベントでした。FinovateFallの報告記事でも書きましたが、欧米では既に金融機関とフィンテックの共生関係が確立しつつあります。今後の日本金融業界はフィンテックとどのようにつきあっていくのか、これからの一年は大きな転機となりそうです。