Infcurion Insight

決済業界・Fintechの最先端情報を届けるニュースメディア

「finbee」で始まる身近なフィンテック体験

出所:株式会社ネストエッグ プレスリリース(https://finbee.jp/news/20161226/)

出所:株式会社ネストエッグ 2016年12月26日プレスリリース 「ネストエッグ、更新系APIと接続した自動貯金サービス「finbee(フィンビー)」の サービス提供を本日から開始」 (https://finbee.jp/news/20161226/

日本国内でFinTech(フィンテック)に注目が集まり始めて既に1年以上。決済と送金、個人資産管理、経理支援、投資支援、仮想通貨など、一通りのFinTechサービスが出揃った感もありました。しかし、もともと日本の金融サービス利用層は限られており、投資や融資のFinTechサービスが広く普及するにはもう少し時間がかかりそうです。

そんな中でFinTechの普及を牽引してきたのは個人資産管理(PFM)、いわゆる家計簿アプリ。既にそのユーザ数は1000万人を超えていると言われています。誰もが日常生活で経験する家計の管理を楽にしてくれるという点がとっつきやすかったのではないでしょうか。

そう考えると、FinTech利用のすそ野をさらに広げ、便利なサービスで金融業界活性化を実現するには、日常生活の中で意識せずに使えるようなサービスが求められます。そして2016年12月、まさにそんなサービスが、インフキュリオン・グループのメンバー企業である株式会社ネストエッグから提供開始されました。

finbeeによる「生活の貯金化」

今回紹介するのは、2016年9月から関係者を対象とするクローズドβ版で試行を続けていた「finbee(フィンビー)」。予定通り、2016年12月26日から、全てのユーザが利用可能なiOS版の提供を開始しています。

そのコンセプトは「生活の貯金化」。世の中にはいろんな貯金メソッドを紹介する書籍やWebサイトがあふれていますが、それは既存の貯金メソッドで成功するのは難しいことを表しています。「finbee」は貯金を意識することなく、日常生活を送る過程で自然にお金が貯まっていく、つまり生活導線に貯金を埋め込んでしまうというFinTechサービスです。

「finbee」では、ただ漠然と貯金するのではなく、貯金の目的や目標金額を設定したうえで、以下のような貯金ルールを設定することができます:

  • 決まった頻度・金額で貯金する「つみたて貯金」
  • 提携銀行のVisaでビットカードで支払いを行うと、切のいい金額(例えば1000円単位)で払った場合のおつりを貯金してしまうという「おつり貯金」
  • 1日に決まった歩数を歩いたら(または歩かなかったら)貯金する「歩数貯金」
  • あらかじめ月の支払い予算を決めておき、それが余ったらその分を貯金する「空き枠貯金」

「空き枠貯金」などは、巷でよくある「封筒に使えるお金を入れておいて、そこから支出する」という家計テクニックのアプリ版とも言えますね。ただ現金をジャラジャラと出し入れしたり、貯金金額を取り分けたりといった作業が全て自動化されるので、かなり楽に貯金できそうです。

「finbee」の特長は、こういった消費者目線でのサービス設計にとどまりません。ITを駆使したFinTechサービスとしても、銀行と更新系APIで接続することで、銀行口座への認証情報を「finbee」が預かることなく、ユーザは貯金用口座への貯金ができるといった優れた点を持っています。

現時点では、ユーザは住信SBIネット銀行に口座を持っていることが前提ですが、今後は提携銀行も増えていき、いろんな銀行の口座で「finbee」が利用可能になっていくとのことです。

今後はさらに、

  • 貯金する目的を共有するユーザ同士(夫婦など)で一緒に貯金できるシェア機能
  • 貯金の目的に関するお得なサイトやサービスのレコメンド機能
  • 貯金達成時などに銀行口座へキャッシュバックできるポイント付与
  • 貯金目的ごとにお得に決済できるクーポン

など、「生活の貯金化」を軸に様々なサービスを展開していく予定です。

金融リテラシーやITリテラシーを必要としない、誰もが使えるFinTechサービスである「finbee」。銀行APIや異業種連携など、技術やビジネスモデルの観点からも、日本のFinTechの発展に新しい風を巻き起こしていきそうです。

参考情報: