Infcurion Insight

決済業界・Fintechの最先端情報を届けるニュースメディア

2019年フィンテックの8大キーワード

本年もインフキュリオン・インサイトをよろしくお願いいたします。年初にあたりまして、今年が日本のフィンテック(Fintech)にとってどんな年になるのかを、インフキュリオンが選んだ8つのキーワードで展望してみたいと思います。

こちらもどうぞ!

 

消費増税とキャッシュレス決済の役割

10月に予定されている消費増税は、間違いなく日本経済全体にとって大きな出来事となることに異論はないでしょう。本来は国の財政と経済政策上の話であるはずで、フィンテックとの関連は薄かったはずなのです。しかし、増税による消費の冷え込みへの対抗策として打ち出されたポイント還元施策が、キャッシュレス決済普及と絡めて推進される状況に。フィンテックの中核である決済サービスのあり方に大きなインパクトをもたらすことになりそうです。

報道によりますと、ポイント還元に関する現時点での政府方針は

  • 10月から翌6月までの9ヶ月間の期間限定で、
  • キャッシュレス決済で払った消費者にポイントを還元、
  • 還元率は中小店では5%、それ以外では2%。

というものです。さらにポイント還元以外では、中小店が導入するキャッシュレス決済端末費用の補助や、加盟店手数料の補助などの施策も盛り込まれています。遅れているといわれる日本のキャッシュレス化の推進を、消費増税に伴う経済政策と絡めて一気にすすめようという政府の意気込みが見えます。

事業者視点では、キャッシュレス決済に対応しなければポイント還元制度に参画することができません。本施策によってキャッシュレス決済の利用可能場所が増えるのは間違いないでしょう。

しかし「キャッシュレス決済」といっても、クレジットカードや電子マネー、さらには昨年から盛り上がりを見せているQRコード決済など様々です。すべての事業者がそれら全部を導入するわけもないので、どの決済サービスが事業者に選ばれて加盟を増やすのかという、業界の勢力争いの方向にも大きく影響しそうです。

消費者においては、キャッシュレス決済しないと損な状況になりますが、ポイント還元施策自体は今までもカードや小売各社のものがありました。それでもキャッシュレス化しなかった消費者のうちどれくらいの方々が、2%や5%のポイント還元でキャッシュレス決済利用に転じるのか、それは未知です。

日本のキャッシュレス決済といえば第一にクレジットカードですが、今回のポイント還元施策はカード業界にとって必ずしも嬉しいものではなさそうです。まず還元率が中小店と大手で異なっていますが、多くのカード会社はそれを判別するための情報を持っていません。日本全国の加盟店について事業規模の情報を新たに整備しなければなりませんが、それはけっこうな負荷になる可能性があります。また、還元するポイントをどこに付ければよいのか、なども現時点でははっきりしていません。

しかしカード業界にとって最も衝撃的だったのは、ポイント還元施策参画の条件として政府が加盟店手数料に上限を設けようとしていることでしょう。突然現れた上限規制の案に業界は反発していますが、これを機に日本のクレジットカード決済のあり方に関する根本的な議論にも発展していきそうです。

あと数ヶ月という期限がありつつも、まだまだ未確定な部分の多いこのポイント還元施策。これがどのように実現されるのか、そしてそれは加盟店・サービス提供者・消費者にどのような影響を与えるのか。国内キャッシュレス決済市場の転換点となりそうです。

QRコード決済の正念場

2018年10大ニュースのトップを飾った、QRコード決済戦争。年末の常識外れの巨大キャンペーンが注目を集めた「ペイペイ」のほか、「楽天ペイ」「アマゾンペイ」、「LINEペイ」、「d払い」といったEC・SNS・キャリアなど大手のサービスに加え、専業の「「Origami Pay」もあります。2019年はさらに、KDDIの「au Pay」の開始で3大キャリアが出揃い、ファミマの「ファミペイ」、セブン&アイグループからの「セブン・ペイ」、メルカリの「メルペイ」なども参戦予定です。

サービス開始が相次いだ2018年に対して、2019年はQRコード決済普及の正念場となりそうです。年末のペイペイの100億円還元キャンペーンはQRコード決済の認知を大きく向上させ、業界全体にも貢献しました。しかし、破格の還元率を目当てに集まったユーザーのうちどれほどが今後も利用者として定着するかがわかるのはこれから。また、登録クレジットカードの不正という負の側面も大きな注目を浴びました。

QRコード決済事業者同士の勢力争いにおける正念場という見方のほかに、QRコード決済という新スキームが日本の消費者に受け入れられるのかという意味でも2019年は正念場となりそうです。なんだかんだ言っても、汎用のQRコード決済が広く普及している海外の国は、カード決済があまり普及していなかったり、日本のような「かざすだけ」の非接触電子マネーが無かったり。豊富な決済サービスラインナップがあり、便利なFeliCaにも慣れた日本の消費者にとって、QRコード決済はどのように映るのでしょうか。

クレジットカード業界ではQRコード決済の普及に悲観的な見方をする有識者が多いです。レジでアプリを取り出すというUXはカードに劣る、というのがよくある主張ですが、筆者の見方は違います。確かに決済のためにQRコード読み取り処理を行うというのは日本の消費者は慣れていませんが、ポイントカードアプリのバーコードを提示するという行動は一部とはいえ定着しています。決済利便性だけではQRよりもカードに分があるかもしれませんが、ポイント還元やお店とのやりとりなどを含めた総合的な「買い物UX」ではQRコードが勝る可能性は十分にあります。また、消費増税時のポイント還元制度はQRコード決済にとっても追い風です。

QRコード決済の利点は「買い物UX」だけではありません。横浜銀行の「はまPay」、りそな銀行が8月に発表した「りそなキャッシュレスプラットフォーム」、メガバンク3行の「バンクペイ(仮)」といった動きにも見られるように、銀行口座連携による新決済サービスの土台という側面もあります。「銀行によるショッピング決済への再参入」という市場構造変革の流れも、QRコード決済の推進力になっています。

筆者は「QRコード決済は日本に定着する」と思っています。2019年はその方向性が鮮明になるかどうかの、勝負の年となることでしょう。

「好き」を繋ぐコミュニティトークン

ビットコイン価格の大幅な下落、詐欺まがいのICO(Initial Coin Offering)の横行などで一時の活気を失ったように見えるブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)技術。しかしブロックチェーンが実現する分散型台帳の革新性は失われてはいません。ビットコインともICOとも異なる、新しいユースケースが「コミュニティトークン」。2019年の重要キーワードとして挙げておきたいと思います。

そもそもブロックチェーン技術の真髄は、中央管理者のいない分散型台帳を実現できること。ビットコインはその最も成功した例と言え、中央管理者のいない暗号資産という新たなサービスを印象付けました。もともとは仲介者なしに価値の交換を行うために開発されたものが、いつしか投機の対象になった結果、その価格の乱高下が世間を賑わすようになってしまいました。ICOも同様で、共通する関心興味を持った人たちが新サービスを応援するという意味を持っていたものが、こちらも投機の対象となったときに様々な問題が噴出することになってしまいました。

しかし、こういう状況だからこそ、ブロックチェーンの本来の強みを活かしたサービスが広がる土壌が整ったとも言えると思います。ブロックチェーンと分散型台帳の本来の強みとは、中央管理者のいない軽量な価値交換インフラであること。改ざん不能という特性によって、見ず知らずの人たちの間に信頼を創出できるということ。

共通する関心興味や趣味で定義されるコミュニティの活性化のための、価値の単位(トークン)。それが「コミュニティトークン」です。応援したい人や団体にトークンを贈る、といった使い方が広まっていきそうです。そういう小さなコミュニティのために独自のITインフラを構築することはコスト的に不可能ですが、ブロックチェーンと分散型台帳ならば構築・運営が可能になるのです。

ここで言うコミュニティトークン的な事例として、既に以下が出てきています:

  • 気に入ったお店や企業を応援するためのオリジナルコインの取引所である「SPOTSALE
  • スポーツチームとファンを繋ぐ「投げ銭」の「エンゲート
  • 芸能事務所中心であるエンタメ業界をアーティスト中心のコミュニティに変革することで、エンターテイメント業界を活性化する「エンタメコイン
  • 「オタク領域」に特化して、ファンの熱意をコミュニティの成長と発展に直結しようという「オタクコイン

2019年は、個人の「好き」で成り立っているコミュニティが活性化していく年になりそうです。

お給料のもらい方が変わる?!

日本人の多くの生活の糧である給与。2019年は、その給与の受取方法が多様化する年になります。

そもそも企業における給与の支給方法は労働基準法に規定されており、「通貨での直接払い」が原則です。昔は給与袋に現金を入れて支給するのが一般的だったと思いますが、それがまさに労働基準法が想定している支給方法でした。

現在では銀行振込による支給が一般的ですが、それはあくまでも例外的位置づけ。銀行振込すると、現金支給と同等とみなされているだけなのです。

労働者の生活を守るために定められているこれらの規定ですが、今の社会に必ずしもそぐわない面も出てきています。例えば働いた分の給与をこまめに早期に受け取りたい場合。「働いた分」ですので既に受け取る権利を持っているのですが、なかなか実現は難しいです。個別の労働者の事情に合わせた現金払いは、雇用者側の業務コスト的に極めて困難ですし、銀行振込の場合は振込手数料などが障壁にもなります。やはり、「お金」を動かすのはそれなりのコストがかかるのです。

しかし現在では、銀行以外でもペーパーレスで送金可能な資金移動業が認められています。また、入金した価値を他者に送ることは、「LINEペイ」など多くのプリペイド型サービスでも既に行われています。つまり、「お金」を動かすのではなく、お金に準じる価値を動かす手段がほかにもいろいろあるのです。

2018年3月にそのような「デジタルマネー」での給与支払の解禁を東京都が要望し、それを受けた議論が展開されてきました。そしてついに、2019年中にこれを全国で可能にするよう、必要な規制の見直しを行うことを厚生労働省が決定しました

デジタルマネー支払であっても、月1回以上はATMで手数料無料で現金引出できることや、給与の原資が100%保全されることなと、労働者保護のための条件も明確化されています。具体的には、現行の資金移動業登録制度における登録事業者のうち、厚労大臣の指定をうけた事業者がサービス提供可能です。「給与支払のためのペイロールカード」という、米国などで見られるようなサービスも出てきそうですね。

キャリアの多様化、働き方の多様化が言われる現代日本。給与の受取方法も個人のニーズに合ったものを選択できるようになります。受け取ったお金をどう使うかを支援するフィンテックサービスもさらに多様化していきそうです。

口座開設、ネット完結

フィンテックサービスは様々ですが、利用開始時にまず必要なのが本人確認(※本人確認不要のサービスもあります)。これはテロリストへの資金の流れを絶つために各国が共通的に導入しているもので、英語ではKnow Your Customer (KYC)とも呼ばれています。

KYCの手法までは国際標準のようなものはなく、各国の法制度によって規定されているのですが、日本の場合は警察庁が所轄する犯罪収益移転防止法で規定されています。

従来の本人確認の特徴は、免許証やパスポートなどの「本人確認書類」ベースであること。お店での対面手続きの場合はそれを提示すればよいのですが、ネットでの非対面手続きの際には必ず書類の郵送が必要となっていました。(マイナンバーカードに搭載されている公的個人認証を使えば書類郵送は不要ですが、あまり普及していません。)

フィンテック事業者は規模の小さなスタートアップが多く、本人確認書類のコピーの保管や書類の郵送などのコスト負担はかなり厳しいものがあり、サービス開発の大きな支障となっていました。また消費者のほうも、ネットで手続きが完結しないため、手続き途中で脱落してしまったり、サービス利用までに手間がかかったり。本人確認制度が必要なことに異論はありませんが、フィンテックによる金融市場の活性化のハードルになっていたと言えます。

このような状況を受けて2018年警察庁は規制見直しを実施。その結果、スマートフォンアプリのカメラ機能を使って、本人の顔を免許証などの顔写真を照合する、などの方法で本人確認のネット完結が既に可能となっています。(このような本人確認を「eKYC」とも呼びます。)新規制が施行されたのは11月30日ですので、2019年からはこれに対応したサービスが本格的に投入されていきそうです。フィンテックの利便性を高めながら、テクノロジーによって取引の安全性も確保する。国を挙げたフィンテック環境整備の事例がまた一つ増えました。

なお、この新規制は個々の本人確認をネット完結可能にしたものですが、個人が複数の口座を開設する場合などではそれぞれについて本人確認が必要です。首相官邸による「未来投資戦略2018」ではさらに、一度実施したKYC結果を迅速に共有することで本人確認を迅速に処理できる仕組みを整えるとの方針を明記しています。実現すれば、最初にKYCすればその後の口座開設は最初のKYC結果を流用できることになりそうで、消費者にとっても事業者にとっても利便性が大きく向上します。2019年にどこまで検討が進むのか、こちらの動向も注視します。

送金がもっと便利に

銀行の3大業務といえば預金、融資、そして為替つまり送金。資金の移動は本来は銀行だけが行うもので、日本の内国為替つまり振込サービスは、金融機関をまたがった口座間の資金移動を安全かつ迅速に行うことができる優れたサービスです。

企業間の数億円、数十億円の送金も安全に行うことができる日本の振込サービスは、小額な送金や高頻度な送金には向いていません。送金自体は無論可能ですが、費用が高くつくためこれらを振込で実施するのは非現実的なのです。

このような背景で導入されたのが、資金決済法に規定されている資金移動業者の制度。一定の条件を満たして当局への登録を済ませた資金移動業者に、送金サービスを開放するものです。

資金移動といってもピンとこないかもしれませんが、例えば「LINEペイ」のように、ユーザー同士で送金ができて、それを銀行口座に戻すことができるようなサービスは資金移動業に該当します。ほかにも携帯キャリアなどプリペイド型決済サービス業者の中にも資金移動業登録をしている業者は多く、わたしたち消費者も知らず知らずのうちに資金移動サービスを使っていることが多くあります。

このような資金移動業制度の成功を受け、これをさらに利便性の高いものにしようという動きがあります。例えば現行制度では資金移動できる上限額は100万円ですが、これでは法人間送金などでは使えません。首相官邸の「未来投資戦略2018」では、上限金額を見直すとの方針が明記されています。

資金移動業は銀行以外の事業者による送金サービスですが、最近は銀行本体がより利便性の高い送金サービスを開始する例が出てきています。多くの銀行が加盟する内外為替一元化コンソーシアムが提供している「Money Tap」は明らかに送金アプリですが、みずほFGが3月に発行開始するデジタル通貨「Jコイン」も新型の送金サービスと位置づけることができます。「pring」は銀行によるサービスではありませんが、提携銀行の口座間で無料で送金できるという意味では銀行サービスにかなり近いものがあります。

世界的にはフィンテックといえば送金、というくらいの本丸ですが、日本では振込がかなり高度なためか送金ではあまりサービス革新がありませんでした。しかし上で述べたように、最近では送金サービスでもいろいろと動きが出ています。2019年は送金サービス拡大の年となるかもしれません。

ICクレジットカード決済

VisaやMasterCard、JCBといった国際ブランドマークのついたクレジットカードで決済するとき、店員さんは「カシャ」とカードをスワイプしているでしょうか、それとも「グサ」と端末に挿し込んでいるでしょうか。前者はカードの磁気ストライプの読み込みによる処理、後者はカードに搭載されているICカードによる処理です。日本では前者がまだまだ多いですが、世界的にはもう前者は廃止される流れで、例えば欧州や中国のように完全に後者のみに移行済みの地域も多いのです。

クレジットカードIC化の理由はセキュリティ。磁気ストライプは誰にでも読み取れ、偽造カードが比較的容易に作れてしまうのですが、ICカードの偽造はほぼ不可能です。

クレジットカードIC化はセキュリティ面だけでなく訪日客対応という観点からも望まれます。2020年の東京オリンピック/パラリンピック開催では、たくさんの外国人が日本を訪問すると思われますが、IC決済になれたお客さんの中には、セキュリティの弱い磁気ストライプ取引に不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。

じわじわと広がっているICクレジットカード決済ですが、2019年はその拡大も加速しそうです。2018年6月に施行された改正割賦販売法はクレジットカードの不正利用対策を加盟店とカード会社に義務付けており、IC決済については2020年までに決済端末のIC決済対応を完了させることが目標として明記されています。(カードのIC化は既にかなり進んでいますが、決済端末のほうが対応が遅れています。)

IC決済対応のために端末を入れ替えるのはコストがかかりますが、これを機に、より利便性の高い非接触IC決済に対応しようという動きも出てきています。例えばイオンは2019年から20年にかけて10万台の端末を導入し、Visaのタッチ決済に対応する予定です。日本ではまだなじみが薄いですが、これはFeliCa型電子マネーのように、端末にカードをかざして決済できるというもの。(ただしFeliCaとは仕組みが異なり、互換性もありません。)IC化するなら非接触決済にも対応すべきとは業界でも言われていましたが、大手であるイオンがその路線を進むことになったのは喜ばしいことです。また、マクドナルドでは2018年から同様の非接触ICクレジットカード対応を進めています

このように2019年は、クレジットカード決済の利用方法が大きく変わる年になる見通しです。セキュリティがアップするのは消費者としても喜ばしいですし、かざすだけでクレジットカード決済が利用できるのは嬉しいですね。

保険のインシュアテック

2019年の重要キーワードとして最後に挙げたいのが、「保険のフィンテック」とも言えるインシュアテック(InsurTech、InsTechとも)。スマホによる消費者の行動変化、そして技術革新による保険サービスの再構成の取組みです。

インシュアテックという言葉は日本でも知られていますし、海外でも活発なサービス開発が進められてきていますが、国内ではインシュアテック的サービスは少なく、まだこれから。しかしインシュアテックが広がるための環境は整ってきているため、2019年は日本のインシュアテックが本格化する年になりそうです。

インシュアテックにもいろいろありますが、ここで注目したいのは販売チャネルの多様化、新型商品の2分野。

ネット生保などオンラインチャネルによる保険販売は従来からありますが、消費者の行動により近いスマホチャネルによる保険の提案・販売はまだまだ未開拓です。特に、保険会社と異業種の連携は、保険ニーズが顕在化するポイントにおいて自然に保険提案に繋げられる可能性があります。例としては、カメラなど高額商品を購入した時点での損害保険の提案が考えられます。

また、新型商品の登場は、インシュアテックのわかりやすい例です。損害保険では、1日単位など必要な期間のみ掛けることができる保険や、従来は開発・販売・運営が困難だった小規模保険などがあります。生命保険では健康増進施策を絡ませたものなどが海外でも広がっています。

既に国内でもいろいろと動きがあり、例えばSOMPOとLINEMS&ADとYahoo!東京海上日動とNTTドコモの提携などは、膨大なユーザーデータと強力なユーザー接点を持つ事業者と保険会社の提携で、今後の発展が期待できます。スタートアップではjustInCaseの「スマホ保険」、海外事業者との提携では住友生命と「Vitality」といった事例もあります。

今後は、保険会社が持つ顧客接点やデータの活用、保険金支払いの迅速化と効率化といった面でもインシュアテックが進みそうです。この記事を執筆している最中にも、保険会社によるIT企業への全額出資を認める方向で規制見直しが進むとの報道を目にしました。銀行については2016年の銀行法改正で実現済みの規制緩和ですが、その後のフィンテックの盛り上がりを考えると、今回のニュースは2019年からのインシュアテックの発展を予兆なのではないかと感じさせます。