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保険領域のフィンテック

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金融サービス利用の裾野を広げ、日本の金融を活性化させようというフィンテック。インフキュリオンもFinTech(フィンテック)を通した金融活性化に貢献すべく日々活動しています。ロボアドバイザー、投資アプリ、個人資産管理(PFM)など銀行・証券領域で動きが目立つFinTechですが、日本の生保・損保も着々と手を打っている模様です。

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一つ特徴的なのは、FinTechスタートアップ企業の活動が注目されて既存事業者の動きが報じられた銀行・証券領域と違い、保険では既存事業者自身の動きが目立つなか、スタートアップ企業の活動が目につかないこと。しかし、海外ではスタートアップによる保険FinTechの取組みが幾つかありますので簡単に紹介しましょう。

海外の保険フィンテック事例

今回参考にしたのは以下の記事です。

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上記記事ではまず、保険業への新規参入は監督規制と資本要件の面から困難、という一般的課題を述べています。さらに、FinTech一般のようなベンチャー企業の活動が保険にあまり見られないのは、保険販売によって生じるリスク資産の蓄積をベンチャー投資家が嫌うから、と指摘。保険FinTechベンチャーへの投資は難しいとの認識ですね。さらに、消費者からしても、存続するかどうかわからないスタートアップ企業から保険を買う気にはならないと指摘。これらの点から、海外においても保険系FinTechは、自らはリスク資産を保有しないような仲介者型が自然なかたちとなるとしています。

そのような仲介者型の保険FinTechとして挙げられているのは米国のPtoP保険ブローカーであるLemonade。2015年創業ですがサービス開始はまだのようで、同社には「世界初のPtoP保険」との記載があるのみでした。(同社LinkedInページにも情報があります。)

Lemonade社の情報:

仲介者型以外の形態では、友人・知人のグループを対象とすることでリスクをプールするというグループ型保険があり、こちらは英国のGuevaraとドイツのFriendsuranceが挙げられています。友人・知人のほうがお互いのリスク度合いを評価しやすいだろう、という考え方ですが、さらに、「スタートアップ企業から保険を買う気にならない」という消費者心理もうまく回避できるモデルとして注目を浴びているようです。

従量型自動車保険のMetromile

面白いのは、同記事で紹介されている米国のMetromile。自動車保険のFinTechスタートアップです。同社はGMからスピンアウトしたNational General社と提携しており、保険契約によって生じるリスクを負うのは後者とのこと。Metromile自体は技術開発と顧客獲得に注力するという布陣になっているとのことです。

Metromile社が目を付けたのは、「自動車事故の発生確率は、走行距離とともに増大する」、「米国の多くの車はほとんど走行していない」という2つの事実。そこであまり運転されない車をターゲットとする保険を開発したとのことです。その料金は月額$50程度の固定料金に、走行距離1マイルあたり6セント程度の従量課金を加えたもの。

IoT(Internet of Things;モノのインターネット)への関心の高まりと歩調を合わせるように、走行データや運転スタイルと連動する自動車保険の話しもよく聞きますが、より単純に走行距離での従量制としたMetromile。「Pay-Per-Mile Insurance(マイル幾らでの保険)」という売り文句は面白く、日本を含め各国に飛び火するのか、今後の発展が注目されます。