前回は欧州の後払いサービス「クラーナ」の動向をご紹介しました。今回は日本国内における後払い決済の動向について触れたいと思います。
日本ネット経済新聞が後払い決済特集を組んだりと、国内EC市場での後払い決済の拡大が注目を集めています。
参考
- 2014年8月26日付の日本ネット経済新聞記事「後払い決済特集」など
後払い決済とはその名のとおり、ネット通販等のECサイトで購入した商品が手元に届いてから支払うことができる決済サービスで、支払期限は14日間が一般的です。
国内の後払い決済事業者は、以下の大手3社があります。
- ネットプロテクションズ
- GMOペイメントサービス
- キャッチボール
ネット上でクレジットカード番号を入力することが不安などの理由でネット通販利用を控えていた消費者の離脱を防いでECサイトの売上を増やすことができると言われており、ECサイト事業者向けにはそれが後払い決済の最大の訴求ポイントとなっています。また、購入者からの支払を待たず商品の発送ベースで後払い事業者から入金があるため、ECサイト事業者にとっては、キャッシュフロー改善効果や未収リスク回避といった利点もあります。
後払い決済の拡大に伴い、
- 事業者が即時に審査結果を把握できる「リアルタイム与信」
- 購入者の会員化とポイントサイト経由での送客
- 返品に応じた請求減額への対応
- コンビニや郵便局での支払
といった領域でサービスも高度化していっています。また、大手事業者の中には、個人向け与信ノウハウを足掛かりに個人事業主や小規模法人をターゲットとした数十万円規模の小額法人決済サービスに参入しようとする動きもあります。
消費者向けEC市場の拡大とともに後払い決済も拡大していくと見られます。2014年9月には佐川急便が後払い決済代行サービスを開始、ヤマト運輸も来春にサービス展開予定と、通販周りの他業種も参入を始めました。早くも次の決済市場を見据える先駆者と、サービスの拡充で後を追う後発業者の動向が今後も注目されます。