2014年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改定版にて、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図るため、関係省庁において年内に対応策をとりまとめることとされていましたが、昨年末の12月26日、経産省から「キャッシュレス化に向けた方策」が公表されました。
(参考)「日本再興戦略」改訂(平成26年6月24日閣議決定)より抜粋
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図る。このため、訪日外国人の増加を見据えた海外発行クレジットカード等の利便性向上策、クレジットカード等を消費者が安全利用できる環境の整備及び公的分野での電子納付等の普及をはじめとした電子決済の利用拡大等について、関係省庁において年内に対応策を取りまとめる。「日本再興戦略」改定 2014: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbunJP.pdf
各施策には、経産省以外の関係省庁所感の方策も含まれています。大枠は以下のとおりです。
- 訪日外国人向けの利便性向上等
- 海外発行クレジットカード等での現金引き出しが可能な ATM の普及【観光庁、金融庁】
- クレジットカード等使用可能店舗での表示促進【経産省、観光庁】
- 地方商店街や観光地等でのクレジットカード等決済端末の導入促進【経産省、観光庁】
- 海外発行クレジットカード等での交通系カードの利用環境の整備【国交省(観光庁含む)、金融庁、経産省】
- 百貨店における面前決済の一般化【経産省】
- クレジットカード等を安全に利用できる環境整備
- クレジットカード決済システムの乱用防止(悪質な加盟店の排除等)【経産省】
- クレジットカード番号や個人情報管理等のセキュリティー対策強化【経産省】
- クレジットカード及びクレジットカード決済端末の IC 化並びに、POS 端末を含むキャッシュレス決済端末のセキュリティー仕様の標準化【経産省】
- 消費者教育の充実によるキャッシュレス決済の適切な使い方に関する理解の増進【経産省、消費者庁】
- 公的分野の効率性向上の観点からの電子決済の利用拡大
- 公的納付金の電子納付の一層の普及【内閣官房IT 室、関係省庁】
- 官公庁におけるクレジットカード決済による費用対効果に優れた調達の促進【内閣官房行革事務局、関係省庁】
特に「3.公的分野の効率性向上の観点からの電子決済の利用拡大」は、かねてからカード業界では政府動向が注目されていました。奇しくも同日、生活保護費の一部をプリペイドカードで支給する全国初のモデル事業を大阪市が発表し、2,000世帯の利用を目標に2015年2月から募集を開始、半年から1年程度実施されることが明らかになりました。
このモデル事業では、受給者にプリペイドカードを貸与し、市が毎月3万円を入金する形で生活保護費が支給されます。イシュアは三井住友カードで、貸与されたカードは国内約450万店舗のVisa加盟店での利用が可能です。大阪市の単身者生活扶助費(生活保護費の一部)は約8万円/月あり、残額は従来どおり口座振替や現金で支給されるとのことです。
(http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/fukushi/0000293229.html)
2014年は、2020年の東京オリンピックに向けたアイデア出しの一年でした。2015年からは、実現の年となることが期待されます。