2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けた最先端IT国家像の実現に向けて動いている日本政府。キャッシュレス化もその国家戦略の一環に位置付けられています。その狙いは消費者の利便性向上だけでなく、ペーパーレス化による社会の効率化、そして電子的な決済データの分析と活用による新産業創生があります。
既に行政と業界が協力してキャッシュレス化を推進する態勢がありますが、本稿では日本のキャッシュレス決済の現状を概観したいと思います。
上に掲げているのは、クレジットカードショッピング、IC型電子マネー、そしてJ-Debitという、現在の日本で利用可能なカード決済サービスの取扱高の2009年から2014年の推移です。
まず注目すべきは、キャッシュレス決済取扱高の順調な拡大です。表に掲げた期間において、カード決済取扱高は35.4兆円から50.7兆円への43%の成長を遂げました。同期間の民間最終消費支出は4%の成長にとどまっていますので、カード決済の拡大が際立っています。
カード決済の内訳を見ると、2014年ではクレジットカードショッピングが46.3兆円と圧倒的な存在感です。5年間での成長率も43%で、日本のキャッシュレス化を力強く引っ張っています。
WAON・nanaco・楽天Edy・交通系で構成されているIC型電子マネーは、取扱規模こそクレジットカードの10分の1にも届きませんが、その成長率は258%と目を見張るものがあります。使える場所の拡大とともに、消費者の生活にしっかりと組み込まれていっていると言えるでしょう。
ここで、民間最終消費支出に占めるカード決済取扱高の比率を「カード化率」と呼ぶことにすると、2009年から2014年にかけてカード化率は12%から17%へと5ポイント増大しました。「現金からカードへ」というトレンドが見て取れます。
向上している日本のカード決済化率ですが、これは諸外国と比べるとまだかなり低い水準に留まっています。近年のFinTechの盛り上がりは世界的なものですが、日本のキャッシュレス化の遅れはFinTech拡大の足かせになる可能性もあります。キャッシュレス化によるペーパーレス化/電子化、さらにはスマートフォン等でのモバイル決済などは、モバイル起点での金融サービス利用が大きな論点であるFinTechの推進においても重要です。
拡大を続けている日本のキャッシュレス決済。その拡大をさらに加速していくことができるよう、インフキュリオンも尽力していっています。