全4回の「Xard(エクサード)で法人カード発行」シリーズ、今回はその第2回です。
前回記事「BtoB事業者もカード発行できる時代:法人カードを取り巻く最新3トレンド」でも述べたように、法人顧客を対象とするBtoB事業者にとって、「自社顧客への法人カード発行」は実現可能な戦略のひとつです。中小企業から大手まで、法人カードは便利なツールとして活用が広がっています。特に、ビジネスのオンライン化のトレンドにおいて、法人カードの重要性が高まっています。
法人カード発行は、BtoB事業者と法人顧客の関係を劇的に変える可能性を秘めています。今回は法人カード発行の戦略的な意義を5つのポイントに整理して解説します。
目次
ポイント:「業務のスピードを落とさない決済」の提供
多くの事業者が、日々の経費精算や支払い業務、資金繰りといった「お金の課題」に頭を悩ませていますが、ここでは特に、「決済に時間がかかり、業務のスピードが落ちてしまう」という課題に焦点を当てます。
どんな事業者も銀行口座でお金を管理しており、口座へのアクセス権を持つのは経理担当者など少数に限定しているのが普通です。決済権限を集中させることで、誤操作や不正のリスクを抑制できます。その反面、口座資金での支払い(振込)権限も集中しているため、業務上の支払いが必要になるたびに、現場担当者は口座アクセス権を持つ担当者に支払いを依頼する必要があります。支払が正当なものであることを確認するため「どういう経緯で支払いが発生したのか」「正当な社内手続きを踏んでいるか」といった確認のための業務負荷が発生し、業務のスピードが落ちてしまいます。従業員が先に自費で支払いを済ませ、あとで精算するという「経費精算」も多いですが、そこでも相当な業務負荷が発生します。
法人カードは、カードを持つ従業員に決済機能を分散させる効果があります。業務上の支払いが生じたとき、従業員自身が法人カードで支払うことで、決済に関する社内のやりとりを低減することができ、事業者全体でみると業務負荷が低減されます。
法人カードで決済機能は分散されますが、決済履歴は電子化されて集中管理しやすくなっています。経理担当者は、誰が、いつ、どこで支払いを行ったかを容易に確認できます。支出の内訳や金額が自動で記録されるので、すべての支払いを法人カードで行えた場合には、「従業員による支払い申請」や「経理担当者による請求書や領収書の内訳登録」といった経理に関わる作業を省力化することができます。また、法人カードの支払いは自動で利用金額が銀行口座から引き落されることが一般的なため、法人カード利用は、請求書の掛け払いや経費支払いのための銀行振込作業を軽減することに繋がります。
法人カードがもたらす業務効率化の効果は、多くの経理担当者が実感しています。わたしたちインフキュリオンが2024年に実施した「法人カード利用実態調査」では、経理担当者の約半数が「法人カードで経理業務負担が減少」と回答しました。特に、「取引先への支払いを法人カードで行えた場合に感じる利点」では「利用履歴を一元化できる」・「銀行振込にかかる時間を削減できる」が上位にきています。

図2 取引先への支払いを法人カードで行えた場合に感じる利点
(株式会社インフキュリオン「法人カード利用実態調査」より。質問:取引先への支払い作業を法人クレジットカードで行える場合、メリットに感じることをお選びください。法人の経理・会計・財務業務担当者4,892名の回答)
このように、御社が自社顧客に法人カードを提供することは、決済の課題に対する強力なソリューション提供となります。顧客は本業に集中できるようになり、御社は顧客のビジネスパートナーとして、より大きな価値を提供できることを意味します。
ポイント:顧客接点を増やし、LTV向上の足掛かりに
法人カードの発行は、顧客との新たな接点を生み出し、ロイヤリティを飛躍的に向上させる絶好の機会です。上で既に述べたとおり、決済は顧客の事業活動の根幹です。便利な決済ツールを御社が提供することで、顧客とのタッチポイントを大幅に増やすことができます。
例えば、顧客に対し、法人カード利用状況のレポートや通知を提供することで、顧客は日常的に御社を意識するようになります。また、法人カードと御社サービスとの連携を深めるような使い方も可能です。御社サービスの利用頻度に応じた特典や、特定の業務に特化した機能を法人カードに持たせることで、顧客はより長く、深く御社サービスを利用するようになります。これにより、競合他社への乗り換えを阻む強固な関係性を構築でき、顧客一人ひとりから得られる価値を長期的に高める、LTV(顧客生涯価値)の最大化に繋がります。
ポイント:カード決済を新たな収益源とする
法人カード事業は、御社の既存事業とは別の、新たな収益チャネルを確立し、決済手数料や付帯サービス、年会費など多様な収益源を確保します。これにより、御社の売上構成は多様化し、特定の事業に依存しない安定的な収益基盤を構築することが可能になります。また、法人カード発行という新しいビジネスに挑戦し成功することは、「テクノロジーで金融を身近なものにする取り組み」であるフィンテックの活用で先進することであり、企業としてのブランド価値向上にも貢献することでしょう。
ポイント:決済データを分析しマーケティングに活かす
法人カードの利用データは、顧客の事業活動や購買行動に関する、非常に価値の高い情報源です。このデータを分析することで、顧客が何を求めているのか、どのようなサービスやサプライヤーを頻繁に利用しているのかといった詳細な洞察(インサイト)を得ることが可能になります。サービスの改善、新機能の開発、そしてパーソナライズされたマーケティング施策の土台になりうるものです。また、顧客の利用状況に基づいた効果的なクロスセル・アップセル戦略を実行できれば、LTVの向上に大きく貢献します。
ポイント:法人カードを組み込むことで、新しいサービスを生み出す
法人カードの発行は、単なる決済手段の提供にとどまりません。御社の主力サービスに決済機能という強力な価値を組み込むことで、これまでにない新しいサービスやビジネスモデルを創出する可能性があります。例えば企業向けECプラットフォームであれば、そこで資材等の仕入れを行う業者向けのカードを発行し、特定分野の仕入れ品に対するポイント還元率を高める、といったことも考えられます。クラウドサービスであれば、特定の経費の支払いを自動で精算処理する機能を提供することも考えられます。このように、御社独自の法人カードを開発することで、顧客体験を革新し、御社の事業価値を飛躍的に高めることができます。
法人カード発行を成長の機会に
法人カードの発行は、もはや一部の金融機関だけのものではありません。クラウドやAPIといった最新技術を活用した「カード発行プラットフォーム」の登場により、BtoB事業者は自社顧客向けに法人カードを、驚くほど手軽に提供できる時代がすでに到来しています。
わたしたちインフキュリオンの「Xard(エクサード)」は、そのようなカード発行プラットフォームです。Xardを利用することで、これまでカード事業に縁のなかったBtoB事業者でも、法人カード発行者になることができます。次回記事では、Xardの特長を詳しく解説します。
「Xard(エクサード)で法人カード発行」シリーズ
- (1)BtoB事業者もカード発行できる!法人カードを取り巻く最新3トレンド
- (2)顧客との関係を劇的に変える!BtoB事業者の「法人カード戦略」解説(今回)
- (3)「法人カード」発行の課題と、それらを解決する「Xard(エクサード)」の価値(近日公開)
- (4)「Xard(エクサード)」で成功する、顧客に選ばれる「カードビジネス」戦略(近日公開)