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FacebookメッセンジャーとPayPalの協力関係

消費者にとって最も身近なアプリといえるメッセージアプリ。日本ではLINEが圧倒的な存在感ですが、世界的な大手では米国発のFacebookメッセンジャーや中国発のWeChatなど様々です。そして最近、Facebookメッセンジャーが、決済大手のPayPalとの協力関係を強めています。

メッセージアプリと「影のEC」

「影のEC」という表現をご存知でしょうか。アマゾンや楽天などのEC事業者を経由しない形態のECを指して使われることがあります。

例えば東南アジア。インドネシアやタイでもネットショッピングが拡大していますが、その大部分はFacebook、Instagram、LINE、などを駆使した「影のEC」であるとも言われています。例えばInstagramでお店の商品写真を閲覧し、LINEで店主とやりとり。購入を決めたら、銀行送金で代金を先払いし、その証憑の写真をLINEで送信。送金が確認できた時点で、お店が商品を発送、という流れです。店側も消費者側も、普段使っているメッセージアプリやSNS、写真共有アプリなどを使っています。カタログ通販をスマホでやっているというのが近いイメージでしょうか。

メッセージアプリの成功の指標の一つは、ユーザの生活に占めるシェア。友人知人とのやりとりだけでなく、ビジネスにおける売り手と買い手のやりとりにも使われるようになれば、メッセージアプリはますますユーザにとって「なくてはならないアプリ」になることができます。上記のような「影のEC」のインフラとなることは一つの成功と言えるかもしれません。

しかし上記のユースケースでも問題があります。売り手と買い手のやりとりがメッセージアプリ上でなされていても、決済する場面になるとユーザが一度離脱しているのです。

売り手と買い手の取引の全てがメッセージアプリで完結するほうが、メッセージアプリにとって嬉しいことは明白。そのためには、メッセージアプリ自身が決済機能を持たなければなりません。

例えばLINEは「LINE Pay」で送金と決済のサービスを提供していますし、WeChatも「WeChat Pay」があります。Facebookメッセンジャーも2015年から送金機能を提供してきましたが、最近になってPayPalとの提携により決済と送金の利便性を高めています。

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FacebookとPayPal

Facebookメッセンジャーの米国ユーザは、デビットカードを登録することで、デビット口座間で送金することができていました。Facebook自身が独自の送金インフラを持つことはせず、既に普及している送金/決済サービスを使うことでユーザの利便性を高めようという考え方と思われます。

この考え方を進める形でFacebookメッセンジャーは2016年、PayPalとの提携を開始しました。2016年からはPayPal口座の登録が可能になり、これによってメッセンジャー上での買い物の決済にPayPalを使用可能となったのです。

次に2017年10月、PayPal口座を原資とするユーザ間送金も可能になりました。発表時点の報道では、250万人がPayPal口座をメッセンジャーに登録済みとのことです(米国内のPayPalユーザ数は9900万人)。

さらに2017年11月には、PayPalが提供する請求書機能がメッセンジャーでも使えるようになりました。これで中小事業者は、Facebookメッセンジャー上で消費者とのやりとり~PayPal請求書発行~PayPalでの支払いまで、シームレスに行うことができるようになっています。個人間だけでなくビジネス利用も多いPayPalですので、特に請求書発行などは、Facebookメッセンジャーのビジネス利用の促進効果もありそうです。

消費者間のインフォーマルなやりとりを超えて、CtoCビジネスのインフラへと変貌していくFacebookメッセンジャー。PayPalとの提携はその利便性向上に大きく貢献する打ち手と言えます。

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